2021.11.26
【最新版】保育士の離職率は高い?5つの原因や職場選びのポイント
まず保育士の離職率が高いという噂は本当なのかどうか、どのくらいの割合なのかを知る必要があります。
原因を把握して、保育士として働きやすい職場を選びましょう。
保育士の離職率はどのくらい?
保育士の離職率を知るために、最新の調査データを確認してみましょう。
【最新】保育士離職率
厚生労働省が一般公開している「社会福祉施設等調査」の資料をもとに、全国の保育士勤務者数と退職者数から離職率を算出してみました。
【2018年度保育士離職率(保育所及び保育所型認定こども園の常勤のみ)】
※上記の離職率は、平成30年度保育者退職者数÷常勤保育士総数×100(%)の計算で算出したものです。
最新データによると、保育士の離職率は9.2%ということが分かりました。
公立と私立別に見てみると、私立の方が倍近く離職率が高いことが伺えます。
全国的に見ても圧倒的に私立保育園の方が数が多いため、必然的に離職率が高くなるのは仕方のないことかもしれません。
しかし、公立保育園で働く保育士は公務員として勤務しているので、労働環境や待遇面から見ても働きやすく、離職率が低いと言われています。
過去の保育士離職率推移
これまで保育士の離職率がどのように変化してきたのか知るために、過去のデータも見てみましょう。
2016~2018年の流れを見てみても全体的にそれほど変化はありませんが、わずかに良い方向に進んでいることが分かります。
今後も少しずつ改善されていくことが期待できるのではないでしょうか。
保育士1年目の離職率
「頑張って学校を卒業し、保育士の資格を取ったけど1年目にしてすでに辞めたい」と思い詰めている保育士さんは意外にも多いものです。
1年の間でどれほどの保育士が退職しているのでしょうか。
※保育士1年目の離職率は、平成29年度に学校を卒業した保育士のうち、平成30年度の退職者数÷採用者数×100(%)の計算で算出したものです。
公立保育園の離職率の低さが際立ちます。
全体の7.1%は、先ほど見た保育士全体の離職率に比べると2%程低いです。
1年目から担任を持つことになった保育士さんの場合、「辞めたいけど3月までは続けよう」と思っている人が多いので、1年目の離職率の低さに反映していると考えられます。
公立保育園で働く保育士は、いわゆる「公務員保育士」であり、自治体の採用試験を受けて働いています。
公務員保育士は私立保育士に比べ、待遇面で優遇されており毎年確実に昇給していくためキャリアアップもしやすく倍率が高いです。
労働環境に恵まれている公務員保育士は離職率が低く、人気があることが分かります。
保育士の離職率が高い5つの原因
続いて、保育士が離職する原因について考えていきたいと思います。
給料面で不満がある
保育士を辞めたいと思う大きな原因に「平均給料が低い」ことが挙げられます。
2020年度の全国保育士の平均給料は249,800円です。[注1]
この給料は新卒の保育士のケースではなく、中堅保育士の月給です。
ここからさらに、社会保険料などが差し引かれるため、手取り額は約20万円程となります。
保育士の給料低すぎ問題は、時々ニュースなどでも取り上げられているため、国は少しずつ処遇改善を行っています。
ですが、やはり責任の重さに対して給料が見合っていない点は、保育士のモチベーションを下げ、離職率を高める原因となっているのです。
長時間勤務で重労働
保育士は子どもと楽しく遊んでいるだけが仕事ではありません。
子どもがいる時間帯は常に1人ひとりの子どもに目を配り、事故が起こらないよう安全に配慮した保育を行っています。
クラスの年齢に合わせて子どもの発達が促されるような遊びを行ったり、保護者対応もこなさなければなりません。
他にも、例えば毎日の連絡帳の記入、保育計画やおたよりの作成、製作物を用意するなど、やるべきことは山のようにあります。そのため、残業時間も必然的に増えてしまいます。
持ち帰り仕事が多い
残業をしただけでは業務が終わらないことが多いので、家に持ち帰って仕事をしている保育士さんもいるでしょう。
持ち帰りの仕事をしている時間を残業時間として扱ってもらえない場合、サービス残業をしているのと同じことになります。
実際、「書類や製作物は家で作るのが当たり前」という風潮は保育士という職業に多く、問題視されています。
人間関係の悩みが絶えない
人間関係の問題に関しては、保育士だけが特別悩んでいるわけではないかもしれません。
しかし、保育士は常に人と関わっている仕事です。子ども・同僚・先輩・保護者と一般的な仕事に比べると、たくさんの人と関わっています。
それに加え、女性が多い職場でもありますので、トラブルが起きやすいのも事実です。
また、昔に比べて現代は保護者からのクレームが増加傾向にあるため、保護者対応に疲弊している保育士さんもたくさんいます。
休みが取りづらい
保育士の人手不足は常に問題となっており、一般的に保育士は休みが取りづらい職業と言われています。
周りの先輩たちが有給を全然取っていない中、休みたいことを言い出せないと悩む保育士さんも多いことでしょう。
プライベートを充実させられないストレスは、仕事をやめたいと思わせる原因につながります。
保育士の離職率が低い職場の選び方
せっかく保育士として働くのであれば長く続けたいですし、離職率が低い職場を選びたいものです。
離職率が低い保育園の特徴を知って、職場選びの参考にしてください。
● 保育士の人数が多い
● 保育園の雰囲気が良い
● 保育方針が自分に合っている
● 福利厚生が充実している
● 有給消化率が高い
● 各種手当が手厚い
保育士の人数は国が定める基準によって決められていますが、ギリギリの人数で回している園は、保育士さんが忙しいためピリピリした雰囲気が漂っている場合があります。
保育士不足の現代で、保育士の人数に余裕のある園は少ないかもしれませんが、面接の前に見学をして園の様子を見てみることをおすすめします。
保育方針が自分の理想とするものとかけ離れていると、働くうえで「合わない」と思うことが増えて、園長や周りの保育士と衝突する可能性があります。
そのため、事前にホームページを見てその園の保育方針を確認しておくことも大切です。
福利厚生が整っていても、例えば産休育休の取得実績がない職場には注意してください。求人票をよく見て、実績状況や各種手当の内容などを確認しておく必要があります。
また、有給休暇の取得率も記載されていることがありますので、求人票は隅々までチェックしましょう。
保育士は離職率が低く働きやすい職場を選ぼう
離職率が高いと言われる保育士ですが、処遇改善などによって毎年少しずつ離職率は下がってきています。
保育士が辞めてしまう5つの原因を把握して、就職や転職のときにお役立てください。
離職率が低い保育園選びのポイントを押さえて、働きやすい職場探しをしましょう。
記事公開日:2021.11.26
記事更新日:2021.11.26