2022.03.10
保育実習日誌に指導者が書くコメント例を紹介!目的・注意点まで徹底解説
実習生の指導は必ずしもベテラン保育士さんが行うとは限らず、園によっては担任一年目の余裕のない時期に指導を任されることもありえます。
日誌の添削に悩んでいる保育士さんは、コメントを書く目的や注意点についても理解しておきましょう。
指導者が保育実習日誌にコメントする目的
保育実習で必須の「実習日誌」は実習生が実習期間中、毎日書くものです。
実習中は1日ごとに目標を立て、その日どのようなことを学んだのか子ども達の様子はどうだったか、気付きや学び、反省点などを記録します。
実習生にとって書くのが難しい実習日誌ですが、この日誌は今後保育士として働いていく上で役立つ非常に大切なものです。
そのため、指導者である保育士が日誌にコメントする内容も重要な役割を持ちます。
指導者が保育日誌にコメントをする主な目的は、実習生に実習の目標やねらいを持ってもらうことです。
保育実習は、社会人になる前に保育の現場を経験できる貴重な機会です。
初めて保育現場を体験する学生さんは分からないことだらけだと思いますが、「なんとなく実習が終わってしまった」とならないよう、毎日を有意義に過ごしてもらいたいと思うのが指導者の願いなのではないでしょうか。
保育士は提出された日誌全体に目を通し、実習生がどこに着目しているのかを確認して適切なコメントやアドバイスを書きます。
実習生は返却された実習日誌のコメントを読み、自分に足りない部分や気を付けるべき点を知ることで、次に活かしていくことができるでしょう。
保育士が日誌にコメントを記入することは、短い実習期間の中で子どもの理解を深めたり、保育者の役割を知ったりなど、実習生に目標を持って取り組んでもらうという目的があるのです。
指導者がコメントする保育実習日誌の内容
実習生の指導担当となった保育士さんは、通常の業務に加えて日誌を毎日チェックしなければなりません。
実習は自分が通ってきた道とは言え、いざ指導する側になるとコメントに何を書いたら良いのか悩んでしまうものです。
実習日誌のコメントを書く際のポイントをおさえて、実習生のためになる内容を書きましょう。
実習生が設定したその日の目標を確認する
実習日誌は1日の始まりから終わりまで時系列に沿って書かれているものであり、活動ごとに「保育士の援助や配慮」「実習生の動きや気付き」などが記載されています。
また、実習生が書く「感想・反省」という欄もあり、これらを全て含めて1日の目標が実習日誌の内容に沿っているか、指導者は確認する必要があります。
また、実習は概ね2週間程連続して行われることが多いので、日を追うごとに目標や内容が向上しているかどうかもよく見てコメントしてあげましょう。
その日のねらいと内容について
実習日誌には実習生が配属されたクラスのその日のねらいや内容を書く部分があります。
これは担任保育士にしか分からないことなので、実習生は朝の隙間時間や子ども達の午睡中に聞くことが多いでしょう。
保育中、時間がなくてねらいの意図について実習生に説明する時間がなかった場合、保育士は日誌のコメントに「なぜこのようなねらいに設定したのか」と理由を書いてあげると、実習生の理解度も深まります。
誤字や表現の間違い
実習日誌は手書きなので、漢字の書き間違いが意外に多くあります。
字の間違いを見つけたら付箋に書くか鉛筆で修正しておきましょう。
また、実習生がよく使ってしまう「〜させる」という言い方は子どもに何かを強要させているかのように捉えられるため好ましくありません。
歯磨きを例に挙げると、「歯磨きするように促した」「歯磨きするように声かけをした」などの表現の方が適切でしょう。
実習生から見たら細かいことと思うかもしれませんが、保育は子どもの意思を尊重することが大切ですので、日誌を通して意図を伝えていきましょう。
指導者が保育実習日誌に記載するコメント例
通常、実習日誌は1日につきA4サイズの用紙1~2枚で提出されるものですが、指導者がコメントを書く欄は主に最後の「指導者コメント」の部分です。
その他にも、1日の流れが書かれた部分で気になる点があれば都度チェックしますが、今回は書くのが難しい指導者コメントの例文を紹介します。
当然クラスの子どもの年齢や、実習生の特徴によって書く内容は大きく異なると思いますが、ここでは事例別に分けて3つの例を挙げていきます。
前向きに実習に取り組んでいる様子が伺える場合
「私たちは日々、現場の先生同士で連携を取り合い、フォローし合いながらも自分たちがやるべきことを把握して保育を行っています。
〇〇先生(実習生)は、子どもと積極的に関わりながら、保育士の動きも視野に入れて全体を見ることができていると、実習日誌から伺えます。
子ども達が〇〇先生の取り合いをしたときは少し困っていたようですが、子ども達一人ひとりの気持ちに寄り添ってみてくださいね。」
重要なことはしっかりメモを取り、子どもとの関わりを楽しんでいる意欲が高い実習生の場合は、さらに良いところを伸ばしてあげられるようなコメントを書きましょう。
「具体的にどんな点が良かったのか」「こうしたらもっと良くなる」など指導者目線でアドバイスができると良いですね。
自信がなく子ども達と関わることに消極的な場合
「今日は部分実習で絵本の読み聞かせをしてもらいましたが、子ども達がなかなか集まってくれず騒がしいままだと、どうしたらいいのか困ってしまいますよね。
緊張や不安な気持ちというのは、実は子ども達にも伝わってしまうものです。
みんな最初はうまくできなくて当然ですので、保育士と子どもとの関わり方をよく観察し、笑顔で子ども達とたくさん関わって残りの実習を有意義なものにしてください。
絵本の読み方や子ども達への見せ方はとても上手にできていました。子ども達も前のめりになって見ていましたね。」
学校の授業で学んだことと保育現場のギャップに自信を失くしてしまう学生さんもいます。
実習生の反省点について助言をするだけでなく、良かったところについても褒めてあげるようにしましょう。
日誌の内容が薄く観察力が足りない場合
「実習お疲れ様です。〇日目の実習でしたが、クラスの雰囲気にも慣れてきた頃かと思います。
今日はAちゃんとBくんがおもちゃの取り合いでケンカになったとき、保育士が仲裁に入りましたが、〇〇先生(実習生)はその光景を見てどのように感じましたか?
保育士は子ども達の成長を日々支える中で、時には見守りが大切なこともあれば、言葉でしっかりと子ども達に伝えていかなければならないときもあります。
今後同じような場面に出くわしたときは、どう関わったら良いのか〇〇先生自身で考えて、声かけしてみてくださいね。」
保育士が日頃どのような視点で保育を行っているのか、分かりやすく説明してあげることも大切です。
問いかけをすることで考えるきっかけが生まれ、実習を振り返ることができるでしょう。
実習日誌の感想欄には実習生からの質問が書いてある場合があります。
もしも疑問点などが書かれていたらそれについて回答するようにしましょう。
また、やる気のある実習生は「今日は絵本の読み聞かせをしたので、次は紙芝居にチャレンジしたいです」など書いてくるかもしれません。
指導者である保育士は「時間を作りますので子ども達の前で実践してみましょう」と、できる限り経験できる機会をたくさん作ってあげることが大切です。
指導者が保育実習日誌にコメントする際の注意点
実習生が提出した日誌にコメントする際の注意点を紹介します。
修正点はペンで直接書かない
これは園によって対応が違う場合があるかもしれませんが、基本は実習日誌に赤ペンなどで直接添削しません。
付箋に書いて貼り付けるなどして、後から消せるように鉛筆で薄く書きましょう。
実習日誌は実習生が最終的に学校に提出する大切な書類となりますので「指導者コメント欄」以外は、消せないペンで書くことは避けた方が良いでしょう。
良い部分は褒める
子どもの様子をよく見て、しっかりと自分なりに考察している日誌が書けている場合は、褒めることが大切です。
実習生のほとんどが、緊張しながら実習に挑んでいるため、毎日が試行錯誤の繰り返しです。
実習なので当然かもしれませんが「大丈夫かな?」「合っているかな?」と不安を抱える中、指導者からもらえるコメントを頼りに頑張る実習生も多いでしょう。
もちろん足りない点や、改善した方がいいところは助言した方が良いですが、よく書けているなと思う部分や、実際に実習中の学生を見て頑張っているなと思った点はそのまま記入しましょう。
実習生は褒められることで前向きになり、さらに有意義な毎日を過ごせるようになるかもしれません。
適切な表現でコメントする
実習生の日誌を添削している指導者が、間違った字や文章を使うことのないようコメントを記入する際は注意が必要です。
漢字の間違いだけでなく、正しい文章で書くよう心掛けましょう。
また、実習生に対して直して欲しい部分を伝えたい場合でも、強く否定するコメントは避けましょう。
日誌のコメント欄では実習生とやり取りができませんので、伝わったかどうかも分かりません。
大事な内容は直接言葉で伝えることをおすすめします。
保育実習日誌の指導者コメント例を参考に的確なアドバイスをしよう
今回は保育実習日誌に書く指導者のコメント例を紹介しました。指導者となる保育士はコメントを書く目的や注意点を把握し、実習生のやる気や自信につながるアドバイスを書きましょう。
コメントを読んだ実習生に「この実習を頑張って乗り越えて素敵な保育士になろう!」と思ってもらえるよう、良いところは褒め、観察してほしいところは具体的に伝えられると良いですね。
記事公開日:2022.03.10
記事更新日:2023.03.24