2021.10.28
保育士資格を取得する方法や一般的な流れを分かりやすく解説
保育士の資格を取得するための方法は複数存在しますので、それぞれについて分かりやすく説明していきます。
「保育士の資格は誰でも取得できるの?」といった疑問も解消することができますので、ぜひ最後までご覧ください。
保育士になるには資格取得が必須
「保育士として働きたい!」と思っても、保育士資格を取得していないと保育士として働くことはできません。
保育士とは児童福祉法第18条で「専門的知識及び技術を持って、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と定められています。
昔は保育園で働く人の多くが女性であったことから「保母さん」と呼ばれている時代もありましたが、男性も働くようになると「保父」という呼び名も誕生しました。
しかし、男女雇用機会均等法や児童福祉法の改正に伴い、1999年に「保育士」という名前に改称されたのです。それから4年後の2003年に保育士は国家資格になりました。
民間資格だった保育士が国家資格になったことで、保育所をはじめ児童福祉施設でより一層、保育の専門職としての役割を果たすことが期待されています。
保育士として仕事をするには資格取得後、都道府県に保育士登録をする必要があります。一度登録した保育士資格は一生涯有効であり、更新の必要もありません。
主婦や高卒でも資格取得できる?
現時点で保育士の資格がない主婦や高卒の人が、これから新たに資格を取得して保育士として働くことはできるのでしょうか。
結論を述べると、主婦でも高卒でも関係なく資格取得は可能です。
その方法については後で詳しく説明していますが、どちらの場合も改めて保育士の学校に入学するか、国家試験を受けるかの選択肢となります。
子育てをしながら、または働きながらでも、保育士講座を利用したり通信制の大学に通いながら保育士資格は取得できるのです。
保育士資格を取得する2つの方法とは?
保育士の資格を取得する手段は全部で2つあります。
資格取得のための具体的な方法についてご説明したいと思います。
保育士養成施設に入学し単位を取得して卒業する
まず最もポピュラーな方法として保育士養成施設に入学する方法について解説します。
保育士養成施設とは厚生労働省が定める保育士を養成する学校、もしくは施設のことです。
● 4年制大学
● 短期大学
● 専門学校
● 通信制大学
※上記には夜間も含みます。
養成学校では、保育の専門知識を学び卒業と同時に保育士資格を取得することができます。
学校で所定の単位を取得していれば、保育士国家試験を受ける必要がありません。
一般的には、高校卒業後もしくは社会人経験を経てからのタイミングで養成校に入学する人が多いかと思いますが、もうひとつ「ハローワークの求職者支援制度(職業訓練)を利用して保育士養成施設に入学する」という方法もあります。
職業訓練で入学した場合、授業料が無料になるだけでなく条件を満たしていれば失業手当をもらいながら学校に通うことも可能です。
しかし毎年1月のみしか募集はなく、対象施設の数もそれほど多いわけではないため、希望通り入学できるとは限りません。
ですが、通常入学した場合にかかる100万円以上の授業料が免除されたり、学校卒業と資格取得ができる求職者支援制度はメリットが大きいので、タイミングや条件が合う方は利用してみましょう。
都道府県が実施する保育士資格試験を受けて合格する
2つ目は、保育士の国家試験を受けて資格を取得する方法です。保育士の国家試験は年に2回、前期と後期で実施されていて、受験の申し込みから資格の取得までは最短で7か月ほどの期間を要します。
「学校に通うのは大変だから国家試験を受けて保育士になろう!」と考える人もいるかと思いますが、保育士国家試験は受験資格を満たした人だけが受けられる試験です。
次項では受験資格について詳しく説明しています。
保育士試験の受験資格や具体的内容
保育士の国家試験を受験するためには、要件を満たしている必要があります。分かりやすく受験資格を最終学歴と実務経験別で見ていきましょう。
保育士は受験資格さえあれば年齢に関係なく何歳からでも受験可能です。国家試験を受けて保育士を目指す方は自分がどこに当てはまるか確認しておきましょう。
また、試験の内容についても紹介していますので参考にしてください。
大学の場合の受験資格
4年生の大学を卒業している人は、学部や学科に関係なく保育士試験を受験することができます。
在学中の学生でも、2年以上の在学期間があり62単位以上修得が完了していれば保育士試験は受験可能です。
大学を中退していても、在学中と同じ条件を満たしていれば受験資格が得られます。
短期大学の場合の受験資格
短大卒も大卒と同様に学科に関わらず受験可能ですが、在学中の場合は年度中に卒業することが条件です。短大中退の場合は、基本的に受験資格はありません。
専門学校の場合の受験資格
専門学校卒の場合は、以下の2点をクリアしていれば受験することができます。
● 学校教育法に基づいた専修学校であること
● 卒業した課程が修業年限2年以上専門課程であること
まだ在学中であれば、上記の条件に加えて年度中に卒業することが必須です。専門学校中退の場合は、高卒と同じ条件が必要となります。
高校卒業の場合の受験資格
高卒の受験資格は少し特殊で、卒業年月日によっては実務経験なしで受験が認められます。
● 平成3年3月31日より前に卒業している
● 平成8年3月31日より前に保育課を卒業している
上記のどちらかに当てはまる人は、何もしなくても保育士試験を受けることができます。当てはまらない人は実務経験を積んで受験資格を得ましょう。
実務経験を積んで受験資格を得る方法
最終学歴が中卒の場合や、高卒で要件を満たしていない場合でも実務経験を積んで受験資格を得る方法が存在します。
条件は、中卒と高卒とで異なるので注意が必要です。
● 中卒の必要勤務経験
・5年以上の勤務期間
・7200時間以上の総勤務時間
● 高卒の必要勤務経験
・2年以上の勤務時間
・2880時間以上の総勤務時間
いずれも、児童福祉法に基づいた児童福祉施設での勤務であれば問題ありません。ただし認可外保育園や幼稚園の場合は知事認定の手続きが必要です。
保育士国家試験の内容
保育士国家試験は、筆記試験と実技試験の2つで構成されています。筆記試験の内容は9科目の中から160問出題されます。以下は出題科目です。
● 保育原理
● 教育原理
● 社会的養護
● 子ども家庭福祉
● 社会福祉
● 保育の心理学
● 子どもの保健
● 子どもの食と栄養
● 保育実習理論
1科目につき、10~20個の問題が出題され、100点満点中60点以上正解していれば合格となります。全ての科目がマークシート形式です。
1回の試験で全ての科目に合格する必要はなく、合格した科目は3年間有効なので3年以内に何度か試験を受けて合格できれば問題ありません。
実技試験は、3つの中から自分で2分野を選択します。
● 音楽に関する技術
● 造形に関する技術
● 言語に関する技術
歌うこと、絵を描くこと、お話をすることは保育の実務でとても重要なので、試験では保育士として必要な表現力や技術力が備わっているかを試験官がチェックします。
また、元気に挨拶することや笑顔を忘れないことも大切ですので、自信をもって挑みましょう。
実技試験は1分野50点満点中、30点以上取ることができれば合格です。
実技試験についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
保育士試験は独学でも合格できる?
保育士試験は独学でも合格できるのか、それとも通信講座などを利用した方が良いのか、これから勉強を始める人は何がベストなのか分からない人も多いでしょう。
独学での勉強方法には、市販のテキストや参考書を購入したり、インターネットで公開されている過去問を解くなどのやり方があります。
最近では保育士試験の独学におすすめのアプリもいくつかあり、隙間時間などを利用して効率よく勉強を進めていくことも可能です。
独学で学習を進めていくコツとしては、試験日に向けて具体的に目標を立てて取り組むことです。
なんとなくダラダラと勉強していては中々知識も身につきませんので、スケジュール表を作成して、何日までに何をするのかを書き込むと良いでしょう。
独学の良いところはやはり費用を抑えられる点です。通信講座を利用した場合でも平均して6万円程の料金がかかるため、テキスト代だけで済ませられる独学は、金銭的に余裕がない人におすすめです。
しかしその反面、スケジュールを立てて自分1人で進めていくのが苦手な人にとって独学は難しいかもしれません。
なお、令和2年度の保育士試験合格率は24%ほどであることから、難易度が高めであることが分かりますので、独学で資格取得を目指すのであれば計画的な日々の学習が必要です。[注1]
保育士資格を取得するまでの一般的な流れ
保育士資格を取得するための方法は前述したとおり学歴や実務経験年数によって異なります。
保育士養成施設に通う方法、大卒で試験を受ける方法、実務経験を積んで試験を受ける方法それぞれについて流れをまとめます。
保育士養成施設に通って資格取得
高校卒業
↓
保育士養成施設(大学・短大・専門学校)に入学
↓
所定の単位を取得
↓
卒業
↓
保育士資格取得
保育士試験を受験して資格取得
高校卒業
↓
保育系以外の大学・短大・専門学校を卒業
↓
保育士試験受験
↓
保育士資格取得
実務経験を積んで資格取得
【高校卒業の場合】
高校卒業
↓
実務経験2年以上
↓
保育士試験受験
↓
保育士資格取得
【中学卒業の場合】
中学卒業
↓
実務経験5年以上
↓
保育士試験受験
↓
保育士資格取得
保育士資格が取得できるルートはさまざまです。
保育士試験は最短で保育士になれる方法ですが、受験資格がないという人もいるかと思いますので、養成学校に入るかもしくは実務経験を積むなどして、資格取得を目指してみてください。
まとめ
保育士資格を取得する方法はたくさんある!自分に当てはまる方法を知って保育士になろう
保育系の学校を卒業していないから保育士にはなれないと思っていた人でも、実は保育士の受験資格があったというケースもありますので、保育士を目指している方は、自分がどの方法で資格取得ができるのか確認しておきましょう。
保育士は、保育の専門家として子どもの成長を間近で感じることができるやりがいのある仕事です。
保育士に興味がある人はぜひ挑戦してみましょう。
記事公開日:2021.10.28
記事更新日:2021.10.28