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2019.12.09

外国籍園児とその保護者支援について

2020東京五輪が近づくなか、国内で外国の方を見かけることが多くなりました。
観光客に加えて日本で生活している外国の方も年々多くなり、ここはどこの国だろうか?と思うくらい外国の方が多い街もあります。
今回は、日本にいる外国の方たちの子女たちについて考察します。

橋本 橋本 圭介(はしもと けいすけ)

 学校法人三幸学園
 大宮こども専門学校専任講師
 小田原短期大学非常勤講師

外国籍の子どもたちの動態

平成30年末の在留外国人数は,273万1,093人で,前年末に比べ16万9,245人(6.6%)増加となり過去最高となりました。

国籍別・地域別

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日本に住む15歳未満の外国人の子ども2018年1月時点で約21万4500人。5年前と比べて3万7000人余り増えています。
総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の結果では、実に全国の41%にあたる711の市区町村で増加しています。
さらに増えているのは都市部だけではありません、島根県、沖縄県、それに埼玉県や千葉県と全国津々浦々で外国人の子どもたちは急増しています。

では、なぜここまで増えてきたのでしょうか。増加の理由で一番多いのが、「家族滞在」です。

外国人が日本に滞在するためには36種類ある在留資格のうち何か1つを取得する必要があります。
そして、子どもたちの在留資格を見てみると増えているのが「家族滞在」であることがわかりました。
しかも、この「家族滞在」を申請できる人の幅は広く、国内の企業で働く正社員の外国人や外国料理店の調理師として働く人、大学で学ぶ留学生も申請可能です。
実際、17種類の資格を持つ外国人の子どもや配偶者が「家族滞在」として申請しています。

いつごろから外国籍の園児が増えてきたのか?

社会福祉法人 日本保育協会が出した『保育の国際化に関する 調査研究報告書 ─平成20年度─』の2.外国人児童が入所している保育所における保育の国際化に関する調査(3)いつから外国籍児童、外国につながる児童を受け入れているか では、古くは昭和35年から受け入れは始まっています。

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資料が平成20年とデータが古いという懸念はありますが、以降の調査がなされていないという証拠でもあると言えます。
保育園にとって外国籍の園児の増減については大きく意義付けていないと言えます。

どこの国の子どもたちが多いのか?

日本に暮らす外国人の子ども(5歳以下)の数は10万人以上となり、どこの保育園や幼稚園でも外国人の子どもを見ることはそれほど珍しいものではありません。
私の教え子が勤務している新宿区の保育園では、外国籍の園児が増えていると聞いています。

首都、東京都で見てみますと、現在は中国籍が最も多く、韓国・朝鮮籍、 フィリピン国籍と続きます。
近年はベトナム国籍やネパール国籍が増加し、多国籍化がますます進んでおり、 2015 年1月1日現在、178 の国籍の外国人が住んでいます。

言葉や文化のカベはある?

外国籍の園児や外国語を母語とする子どもに対応する場合、言葉と文化の違いという障壁が出てきます。
外国籍や外国語を母語とする子どもの問題は、まず言葉と文化の違いを認識し共有することが必要です。
言葉はいくつかのレベルに分けられますし、文化も宗教や生活面まで様々です。

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橋本圭介,2018『発達保育の基本スキル』秀和システム

保育士として知っておきたい知識

海外生活や留学の経験にあるとビザとか在留資格とかオーバースティなどのワードの理解は早いと思います。
ここでは外国籍の園児を預かることになった保育士を想定してなにを知っておくとより良い支援ができるかを考えます。

1.外国人と日本人

日本人の定義:実際に定義することは困難です。例えば:

・日本国籍を持っている人?
・両親が純粋な日本人の子?
・アングロサクソン系で蒙古斑がある子?
・日本に長年住んでいて永住権を持っている人?

というように日本人とは〇〇でありそれ以外は無い!という定義はできませんし、またする必要性もさして見当たりません。

2.外国籍の人が日本に居られるための資格=「在留資格」

1)ビザ(査証)と在留資格の違い

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というように正式にはその意味が違っています。
園児の保護者がどのような在留資を所持しているのかを知っていると支援するときの助けになります。

外国籍の園児への具体的な支援

ケーススタディ1:保育中に母国語で話し始める園児たち

5歳児クラスに数名、同じ国籍の園児がいます。
基本的には日本語でなんとかコミュニケーションできますが、時々、母国語で盛り上がっています。
保育士も他児も何を話しているのかまったくわかりません。最近は、彼らが母国語で話はじめると日本人の園児たちがちょっと嫌な顔をします。

具体的な支援

まず、「ここは日本だから日本語で話すように!」という支援は不適切です。
母国語で話している園児の気持ちに寄り添ってみましょう。
日本という外国で暮らす園児たちにとって母国語で話すことはリラクゼーションの一つでもあります。

私もアメリカの大学への留学経験がありますのでよくわかりますが、日本語で話しているとちょっとリラックスできたことを覚えています。

言葉はその国の文化であり、ふるさとでもあります。

「ねえ、みんなは何を話しているの?先生にも教えて!」と聞いてみてはどうでしょう?

今後の課題

我々が想像している以上に増えてくる外国人観光客や関連する長期滞在者。
その子弟たちが保育施設へ通うことは容易に想像できます。では受け入れは万全でしょうか。
受け入れる場合何が優先されるのでしょうか。まず受け入れる姿勢(マインド)です。
江戸時代に鎖国を経験してから日本はどこか外国人に対する変なコンプレックスがあるように感じます。
もっと増えてくる外国人たちを「おもてなし」の気持ちで迎えるにはまだ準備が足りないように感じます。

まとめ

外国で暮らすことは想像以上に困難が伴います。
留学でも感じたわけですから、生活者となるとその比ではありません。
思いもがけない場面で制限をかけられたり、いやな思いをしたりがあります。
世界で暮らしやすい国の「EIUが毎年発表している世界で最も住みやすい都市ランキング」で大阪が4位、東京が7位と高ランキングにつけています。
外国人は日本を知りたいと思っています。英語ができなくてもコミュニケーションの方法はあります。
私は、アメリカ留学時代に現地の人たちにずいぶん助けてもらいました。
帰国してからもう30年、今も外国の方が困っている感じだとつい声をかけてしまいます。

参考サイト等

法務省 平成30年末現在における在留外国人数について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00081.html

外国人依存ニッポン
https://www.nhk.or.jp/d-navi/izon/children.html

記事公開日:2019.12.09

記事更新日:2019.11.29