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2019.09.02

発達保育の基本スキル-保育士はどうやって現場で発達支援をしているか-

橋本 学校法人三幸学園
 大宮こども専門学校専任講師
 小田原短期大学非常勤講師

 橋本 圭介
 

 

ここ数年、子どもの発達について取りざたされています。

保育所保育方針でも発達段階に合わせた保育が基本となっていて、保育士に子どもを年齢ではなく、発達段階に合わせた支援をするように求めています。

平成20年の保育所保育指針では、就学前に子どもを8つの年齢カテゴリに分けて「おおむね〇〇歳」と個人差を考慮した表記になっていましたが、30年改訂の保育所保育指針では3つのカテゴリに大別されました。しかし子どもの発達に合わせた保育には変わりありません。

 

今なぜ発達支援がクローズアップされているのか

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この発達がとくに「発達障がい」という言葉で今クローズアップされていますが、その理由は何でしょうか。
本題に入る前に、発達とは何かを定義しておきます。

発達:年齢が進むにつれて、人間になる諸要素が明確になり、それらが相互に関連しあって統合され、単純な状態から複雑な状態へと経過していく過程

就学前から就学時期に、私の同じクラスに今でいう発達障がいのクラスメイトがいました。当時(1970年代)は、「ちょっと変わったやつ」で片づけられていたと思います。

あれから40年近くすぎ、そういう子どもたちのいろいろな問題行動が社会問題となってきて、もう社会がそういう現状を放っておけなくなったのでしょう。国も、2004(平成16)年に発達障害者支援法を制定し、発達障害という障害を確立しました。ここ数年、テレビでも発達障害を取り上げる番組が増え、新聞、インターネットでも発達障害という文字が踊ります。

注)現在、障害を「障がい」または「障碍」と書く場合がありますが、ここでは、法律や制度に基づいて「障害」と従来の表記を使用します。

 

発達支援の対象の拡大

子どもの発達支援はその対象を0歳~就学前までとしていますが、私は人間の発達の開始は、親が子どもを産み育てるか否かの段階だと思っています。それは、産まれてくる子どもはどのような環境のもとで生まれてくるかを選ぶことはできないからです。
つまり、産み育てる適切な環境を整備するところから子どもの発達は始まると考えています。

また、就学後の子どもたちは保育士の支援の直接的な範疇ではありませんが、小学校を卒業するあたりまでは支援の対象となると思っています。

ついては、支援の対象を次のように設定しました。

※詳しくは、橋本圭介著『発達保育の基本スキル』秀和システムをご覧ください。

 

多様な子どもへの発達支援

ここでは、子どもたちのもつダイバーシティ(多様性)への発達支援を6つの場合についてその発達支援のポイントをまとめました。

このように様々なこどもたちへの対応が保育士には求められていることがわかります。子どもの多様性に負けない保育士たちの柔軟性や理解を深める姿勢も重要です。

 

学齢期の子どもへの発達支援

保育士の発達支援の対象は基本的に就学前の子どもたちですが、保育所は地域にある社会資源ですから、そこに住んでいる地域住民は支援の対象として考えてもいいでしょう。
卒園生に街で出会ったりしたときに「小学校は楽しい?」など声をかけたり、小学校の行事などに参加してみることもいいでしょう。
「卒園しても見守っているよ!」という意識は重要です。

 

子どもの発達×様々な要素

子どもの発達にはいろいろな要素が関連しています。
食事や睡眠、運動などの生理的なものから住まいや娯楽、音楽などの生活環境、また、マスコミなどの文化が代表的なものです。
こうした要素が子どもの発達にどう影響しているでしょうか。

発達×音楽

音楽が発達に与える良い影響には大きく3つあります。


*私は3歳からピアノを習っていました。ピアノはモノになりませんでしたが、語学にその効果が出たので、この理論は確かです。

発達×テレビ番組

「子どもに見せたい番組、見せたくない番組」は、私が幼児期から言われていました。
日本PTA全国協議会が毎年実施している「子どもとメディアに関する意識調査」から<子どもに見せたくないテレビ番組>を質問する項目が今年から削除されていますが、実際には保護者としては見過ごせない問題ですよね。

では、保育士はどう考えたらよいでしょうか。
子どもたちにとって「見せたいテレビ番組」を選ぶうえでのポイントとして:

1.子どもたちが見たい番組と大人たちが考える見せたい番組には乖離がある。
2.家族でテレビを見るうえでの基本的な考え方を共有しておく。
3.教育的な番組に集中しがちであるが、総合的に判断する。
4.世間の評判ではなく、保護者が一度見て内容を吟味する必要がある。

大切なことは見る当事者である子どもとよく話し合いをすることです。大人たちの都合ではなく、「子どもの最善の利益」を考えた番組選びがポイントです。

 

発達支援機関等との連携

保育士は、ソーシャルワーカー的な役割も期待されています。ソーシャルワーカーは関連機関をどれだけ知っているかが一つの能力だと言われています。ここでは、連携する発達支援機関を観てみましょう。

1) 児童発達支援センター
2)子育て世代包括支援センター
3)児童相談所
4)児童家庭支援センター
5)保育所等訪問支援
6)児童館

と、これだけの機関がありますので、保育士はひとりで抱え込まずに連携することを考えましょう。
ただし、保護者から相談があった場合にすぐに専門機関とつなげようとせずに保護者の自分の子の障害受容の状況を観ながら慎重に進めることがポイントです。
*詳しくは、橋本圭介著『発達保育の基本スキル』秀和システムをご覧ください。

 

アメリカの心理学者、エリクソンは、人間は産まれてから死ぬまで発達するとし、その生涯を8つの期にわけてそれぞれの発達課題を提示しています。

保育所で預かる時間は長くても6年~7年ですが、「(卒園した)その先を見通した保育」が求められていると感じています。
どのような保育がその先を見通した保育なのか、今やっている保育がそうなのか、ぜひ、保育の現場で検証してみてください。
すべては子どもの最善の利益のために。

 

<橋本圭介さんによる過去の記事>
ついに始まる「保育・幼児教育無償化」働く保育士や幼稚園教諭に与える影響とは?
https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/608

保育士のキャリアアップ研修を活用して給料アップを狙いましょう!
https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/611

本当に給料上がってる?保育士の待遇改善についてきちんと知っておきましょう!
https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/627

 

<参考サイト等>
●橋本圭介『発達保育の基本スキル』秀和システム
今なぜ発達障害か? (石川憲彦)
https://bit.ly/2yEB2xN
●発達障害の理解のために
https://bit.ly/2yEB48T
●人間発達とは
https://bit.ly/31lU6gQ

記事公開日:2019.09.02

記事更新日:2019.09.05