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2019.07.29

保育士のキャリアアップ研修を活用して給料アップを狙いましょう!

「保育士キャリアアップ研修」はご存知でしょうか?
保育士の技能や経験によって更なる処遇改善を目的に新たに厚生労働省が示したものです。
このキャリアップ研修を活用することで、今よりも給料を上げることも!
「保育士の基本スキル」などの本を執筆されている橋本圭介さんがわかりやすく解説します!

橋本 学校法人三幸学園
 大宮こども専門学校専任講師
 小田原短期大学非常勤講師

 橋本 圭介
 

平成29年の4月、保育士の待遇向上と専門性の強化に向けて「保育士等キャリアアップ研修」とその「ガイドライン」が厚生労働省で定められました。
これを受講することによって、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分担リーダー」の役職に就くことができます。

ここでは、このキャリアップ研修を通じて給料もアップするかを考察します。

 

保育士の給与の実態

平成29年度保育士及び幼稚園教諭の平均賃金等の実態について

よく比較対象となる幼稚園教諭とはほぼ差異はありません。もっとも、幼稚園教諭と保育士の基本的な業務が違いますので本来比較対象とはなりません。

では、ここでなぜ保育士の給与が全業種の中で低くなっているのかを説明します。
それは、「委託費の弾力運用」という制度によります。

これは、委託費の中から人件費の占める割合を園側が自由に設定できるという制度です。
委託費での人件費の割合は8割が基準とされていますが、「委託費の弾力運用」という制度を適応して低く見積もられる危険性があります。

2017年2月に東京都は「保育士等キャリアアップ補助金の賃金改善実績報告等に係る集計結果」によると、園長なども含む認可保育所の全体人件費比率を見ると、社会福祉法人は69.6%株式会社は49.3%という数字が出ていますが、いずれも8割には到達していません。
これだけ保育士不足が問題になっているわけですから、委託費の適切な運用が求められます。

 

キャリアップ研修のコンテンツ

平成 29 年4月1 日付けの厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長発令の「保育士等キャリアアップ研修の実施について」に沿って研修内容を説明します。

保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要

具体例として「2 乳児保育」を見てみましょう

1

 

実際にはどの程度実施されているのでしょうか。平成30年度の東京都の場合です。

キャリアップ研修の実施状況

保育士として園で勤務しながら、1分野15時間以上の研修受講の負担は大きいと思います。
しかし同時に保育の専門知識をより深く身に付けることができるいい機会でもあります。
修了証は受講した都道府県以外の都道府県においても有効なため、この研修を受けたことが転職にも充分な効果があるとも期待されています。
これまで290合計35回延べ2,468名が受講しています。

 

キャリアップ研修と給料アップの関係性

現在、このキャリアップ研修を受けたからと言って、100%昇給するとは限りません。
それは園が決めることだからです。

しかし、前段で述べたように、この研修の受講修了証は全国いずれの都道府県でも有効であることから、まったく無関係であるとは言い切れないのも事実です。
また、この研修を受けることへの園側の考え方も重要です。
キャリアアップ研修を受けるためにシフト調節をしてくれたり、研修を受けながら働きやすい環境を作ってくれる園もあります。

 

保育士処遇改善等加算のシステム

厚生労働省では、「技能・経験に応じた保育士等の処遇改善の仕組みについて」で以下のように示しています。

副主任保育士・専門リーダー(仮称):月額4万円の処遇改善の対象(園長・主任保育士等を除いた職員の概ね1/3)
職務分野別リーダー(仮称):月額5千円の処遇改善の対象(園長・主任保育士等を除いた職員の概ね1/5)等

「これにより、キャリアパスの仕組みを構築し、保育士等の処遇改善に取り組む保育園等に対して、
キャリアアップによる処遇改善要する費用を公定価格に上乗せを行う(公定価格上の加算の創設)。」としています。

 

これを受けて具体的にはどうような改善があるのかと言えば:

*ただし、平成30年度以降に係る配分方法については、職員の研修の受講状況等を踏まえ検討。

 

実態

この「保育士キャリアアップ研修」を受講するとメリットが多くありますが、
実は「そこまでキャリアアップを望まない人」が存在します。
したがって「研修を受ける人が少ない」という現実が生まれます。その理由はなんでしょうか。

研修を受けたとしても必ず給与アップとなる訳ではない

いくら経験や研修を積んでも「専門リーダー」「職務分担リーダー」が保証されているわけではないということです。
つまり成果が出にくいということです。

キャリアップを望まない

保育士は女性に多い仕事ですので、妊娠や出産をきっかけにいったん退職をするという人が多くいます。
しばらく休んで現場へ復帰する際、正社員ではなくパートを選ぶという人が多いことからこの研修の必要性を感じていないということです。
これは決して、保育士たちに向上心が欠けているというわけではありません。働き方の問題です。

 

 

このような自分の保育力をブラッシュアップする研修やセミナーは全国で展開されています。それだけ保育士の地位向上が求められていることの証拠でもあります。しかし、それを受ける保育士のみなさんの意識はいかがでしょうか?

よく、「うちの園ではこの研修を受けても昇進も昇給もしないからあまり関係ない」という声を聴きます。
確かにそうかもしれません。
しかし、ご自身の問題ではありませんか。この研修をどう活用するのかは園側ではなく保育士のみなさんが決めることです。

この研修が転職や昇給だけを目的としたものであるとすればそれは本末転倒です。
自分の子を保育所に預ける保護者のいろいろな気持ちに寄り添いながら園児の最善の利益を確保することが保育士のみなさんのルーチンワークです。
誰のためにスキルアップするかといえば、それは一点の曇りもなく子どもたちの為といえるでしょう。

<橋本圭介さんによる過去の記事>
ついに始まる「保育・幼児教育無償化」働く保育士や幼稚園教諭に与える影響とは?
https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/608

 

<参考サイト等>
●保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要 (厚生労働省)
https://bit.ly/2JzCbxz
●保育士等キャリアアップ研修の実施について (厚生労働省)
https://bit.ly/32ReAPQ

記事公開日:2019.07.29

記事更新日:2019.08.09