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2019.07.04

HSCの保護者にはどう接すればいいの?保育士必見!コミュニケーションのコツ

高野あゆみ 高野 あゆみ(たかの あゆみ)
 HSC幸せ子育てサロン代表・2児の母
 心理カウンセラー・保育士資格所有
 娘の激しい登園渋りがきっかけでHSC
 を知り、HSC支援活動を行う。

【HSC幸せ子育てサロン】http://hsc-kosodate.com/
【Blog】http://hsc-kosodate.com/category/blog/
【Insta】https://www.instagram.com/aym_1130/

これまで、HSCの基礎知識、HSCが園で見せる特徴、対応方法についてご紹介してきました。

前回までの記事はコチラ

「HSC」とは?クラスの5人に1人はHSCかもしれません
  https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/549

 HSCが園で見せる特徴とは?HSCはこんな場面で「つらい」と感じています
  https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/568

HSCにはどう対応すればいいの?園で出来る5つの効果的な方法をご紹介!
  https://ohana.hoiku-hiroba.com/post/577

 

この記事では、HSCの保護者と保育士のみなさんが信頼関係を築くコミュニケーションのコツをご紹介します。

HSCの保護者はどんな気持ちなのか?
保護者は園や保育士のみなさんにどんなことを望んでいるの?
具体的なコミュニケーションのコツは?

という順番で、具体的にイメージがしやすいようにお伝えしていきます。

 

HSCの保護者はとっても不安

HSCの保護者とコミュニケーションをとる時にまず知っておいていただきたいのは、HSCの保護者はとても不安な気持ちを抱えているということです。

HSCの保護者は、子どもが保育園や幼稚園などで集団生活を始めた時に、「あれ、うちの子は周りとは何か違うかも?」と感じることが多いです。

送り迎えの時には笑顔で挨拶をしてくれるし、連絡帳のやりとりも丁寧だし、一見、何の問題もないように見えるかもしれません。

しかし、HSCの保護者の多くは、誰にも言えない悩みや困りごとを抱えていることが多いのです。

「周りと比べてこの子は何か違う気がする」
「自分の育て方が悪かったんじゃないか」
「子どもが保育園を楽しめているのか不安」
「先生に迷惑をかけていないか心配」
「もしかしたら発達障害かもしれない」
「誰に相談したら良いか分からない」
「子どものためにそばにいてあげたいけど仕事はやめられない」
「先生にHSCと言っても分かってもらえないかもしれない」

・・・など。

子どもを育てにくいと感じ、そう感じている自分を責めてしまったり、言ったら周りから否定されそうで怖かったり、誰に言ったらよいか分からず1人で抱え込んでいたりするのですね。

 

HSCの保護者が園や保育士のみなさんに望むこと

では、HSCの保護者は園や保育士のみなさんにどんなことを望んでいるのでしょうか?それぞれの家庭によって様々なニーズがあると思いますが、ここでは特に良く聞かれる2つをご紹介します。

 

子どもの味方でいてほしい

Ohana記事④写真1

1つ目は、子どもの味方でいてほしいということです。

HSCは、園で人よりも沢山の刺激を受けながら、小さな体で一生懸命がんばっています。不安やストレスを感じやすかったり、周りと同じように出来なくて自信が持てなかったりします。

だからHSCには「あなたはあなたでいいんだよ」という絶対的な味方が必要なのです。

HSCは、人を見抜く鋭い力を持っているので、

「この大人は自分の味方か?」
「本気で自分に向き合ってくれているか?」
「安心できる大人か?」

ということを人よりも強く感じ取っています。それは保護者にも伝わっています。
保護者は、まず先生が自分の子どもの味方になってくれることを望んでいます。

 

話を聞いてほしい

2つ目は、話を聞いてほしいということです。

HSCの保護者と話をしていると「聞いてほしかったんです・・。」とおっしゃる方が本当に多いのです。
みなさんも、「話を聞いてもらえただけで心が軽くなった」「本音を吐き出せてすっきりしした」という経験があるのではないでしょうか。

先生方は「何か気になることがあれば、いつでも声をかけてくださいね。連絡帳に書いてくださいね。」と言ってくださいます。

こう言ってくださることは本当にありがたいのですが、保護者から保育士の先生方に「聞いてもらえますか?」と声をかけることや、悩みを打ち明けることは、実はとてもハードルが高いのです・・。

 

HSCの保護者は特に、

「いきなり”HSC”という言葉を伝えても、先生方に理解してもらえないかもしれない。」
「子どもへの配慮を要望したら、先生方に負担をかけてしまうかもしれない。」
「面倒な親だと思われてしまうかもしれない。」

などと考えてしまい、なかなか動き出せない方が多いです。

直接そのような声が無かったとしても、保護者は「聞いてほしい」と思っています。

 

HSCの保護者との具体的なコミュニケーションのコツ

さてそれでは、HSCの保護者とはどのようにコミュニケーションを取ればよいのでしょうか?
明日から実践できる具体的な方法を3つご紹介します。

 

①子どもが園で見せる困りごとを活かす

Ohana記事④写真2

1つ目は、子どもが園で見せる困りごとを活かすということです。

HSCの子どもが園で見せる困りごとには必ず意味があります。それに向き合い、丁寧に対応していくことが、子どもが過ごしやすい環境を作り、保護者と信頼関係を気付いていくきっかけになると考えています。

具体例をひとつご紹介しますね。

娘が保育園で、「お散歩に行きたくない」と言った日があったのですが、その日先生は、こんな風にお話してくれました。

先生「今日はね、お散歩に行かないで園で過ごしたんです。(笑顔)」

私「え、そうなんですか。何かあったんでしょうか。(ちょっと困り顔)」

先生「朝は元気だったのに、お散歩で外に出ようとしたら玄関で足が止まってしまったんです。何度か声をかけて誘ってみたんですが、やっぱり気持ちが向かず・・。
無理させると良くないので、副園長と一緒に職員室で本を読んで過ごしました。

結局、はっきりした理由は分からなかったんですが、みんながお散歩から帰ってきたら、そのまま一緒に給食を食べて、それからはいつも通り過ごしていましたよ。

お家で何かお話してくれたら、また教えてくださいね。〇〇ちゃんが過ごしやすいように私たちも考えていきますね。(笑顔)」

この日、娘は家に帰ってから「弟がお庭で泣いてたんだもん。」と教えてくれました。

娘が「お散歩に行きたくない」と言ったのは、3つ下の弟の泣き声が園庭から聞こえたからだったのです。職員室の窓からは園庭がみえるので、弟の様子を見たかったのだと思います。

先生が娘の様子について上記のように伝えてくださった事は本当にありがたく、先生は娘の味方でいてくれているということが伝わってきました。

保護者に子どもの困りごとを伝えるのは少し勇気がいるかもしれませんが、こうして考えると、一見困りごとに見える出来事にこそ、子どもが過ごしやすい環境を作るヒントが隠れているし、保護者と信頼関係を築くチャンスがあるのですね。

保護者は、保育士のみなさんからこのような点を伝えてもらうと安心できます。

  • どんな場面でどんな困りごとがあったのか
  • どんな対応をしたのか(基本的には無理強いしない方法)
  • 結果どうだったのか
  • 一緒に考えていきましょうという気持ち

 

②保護者が話をしやすいきっかけ・仕組みをつくる

2つ目は、保護者が話をしやすいきっかけ・仕組みをつくることです。

保護者は自分から「聞いてほしい」とは言えなくても、きっかけがあると話を切りだしやすくなります。

Ohana記事④写真3

きっかけの1つは、”ちょっとした会話”

例えば、お迎えの時にこんな風に声をかけてもらうと、とても嬉しいです。

「お母さん、今日もお仕事おつかれさまです。最近どうですか~?」
「今日は、スープのネギだけ綺麗に取り出してました (^^)。お家ではどうですか?」

このように日常的に”ちょっとした会話”を取り入れていくと、保護者からも話しかけやすい雰囲気がつくれるのかなと思います。

 

それから、”面談の申し出をしやすいような仕組み”をつくるのも良いです。

1年に1・2回、保護者との面談をしている園もありますが、それ以外のタイミングでも、保護者が面談をしたい時に申し出をしやすい仕組みがあると保護者は嬉しいです。

そして、保護者から「うちの子はHSCかもしれない」という話があった時は、どうか気持ちに寄り添って聞いていただければと思います。

 

③保護者が自由に借りられる場所にHSC関連の本を置いておく

3つ目は、保護者が自由に借りられる場所にHSC関連の本を置いておくことです。

Ohana記事④写真4

HSCを知った保護者からは、

「もっと早く知りたかった」
「早くHSCと知っていたら、こんなに子どもを苦しめずに済んだのに・・」

という声が本当によく聞かれます。

でも、保育士のみなさんが、もしかしたらこの子はHSCかもしれないと気付いたとしても、「〇〇ちゃんは、HSCかもしれません」と声掛けするのは、立場上難しい事情がありますよね・・。

精神科医や公認心理士、スクールカウンセラーなどの専門家の中でも、HSCについてまだ認知が広まっていないのが現状ですので、公的な相談窓口に行ってもHSCという言葉は出ないかもしれません。

 

オススメなのは、保護者が自由に借りられる場所にHSC関連の本を置いておくことです。

娘の園には「保護者向け本棚」というのがあって、保護者が自由に借りることができます。
「保護者向け本棚」の本には何度も救われましたし、先生とお話しするきっかけにもなりました。

こちらの記事でHSC関連の本をご紹介していますので、どうぞご覧ください。

http://hsc-kosodate.com/book/



いかがでしたか。HSCの保護者が望んでいること、保護者と信頼関係を築くコミュニケーションのコツをお伝えしました。

HSCの保護者はひといちばい不安をかかえています。ぜひ丁寧に寄り添ってあげてください。でも、あまり気負う必要はないし、完璧に上手くやる必要もないと思っています。

「○○ちゃんにとって過ごしやすい環境を一緒に考えていきましょう」という気持ちで誠実に向き合っていれば、必ず良い方向に進んでいくのではないかと思います。

 

さて次回は連載最終回!
HSCにとって保育士さんがいかに重要な存在なのか、ということについてお話します。

どうぞお楽しみに!

記事公開日:2019.07.04

記事更新日:2019.07.08