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2019.04.03

保育士とは何が違う?無資格の「子育て支援員」が担う役割とは

保育士とは何が違う?無資格の「子育て支援員」が担う役割とは

保育士不足が深刻化する中、政府は保育士の確保を急ピッチで進めていますが、保育士だけで十分な人数を揃えることは難しい状況です。
そのため、地域で子育て支援を行いたいと希望する人に対し、手厚い研修を行い「子育て支援員」として政府が認定することで、無資格でも小規模保育や家庭的保育などの子育て支援の場で活躍できる制度を開始しました。

しかし「子育て支援員」の制度そのものは、世間一般ではあまり広く知られていません。
無資格でも働けるって本当なの?と疑問に感じている人も多いでしょう。
今回は、無資格でも研修が受けられる「子育て支援員」の認定制度についてご紹介しましょう。

 

 

子育て支援員ってなに?

「子育て支援員」に期待されている役割とはどんなものなのでしょうか。

政府が認定する「子育て支援の担い手」

「保育士」は、試験合格や養成学校での単位取得によって認められる国家資格です。
対して「子育て支援員」は、自治体などが行う専門の研修を受けた人に、「無資格でも、保育や子育て支援に十分な知識や技術を持っている人」という政府のお墨付き(認定)を与える制度です。

無資格と聞くと子どもを預ける保護者の立場からは不安に感じるかもしれませんが、このような子育て支援員に活躍してもらうことで、保育士不足を少しでも緩和するとともに、業務過多になりがちな保育士の負担を減らすことが期待されています。

無資格で保育園で働く場合の仕事内容ですが、表向きに言えば“保育士の補助業務”です。
しかし実際は保育士と仕事内容はほとんど変わらず、子どもたちの世話(散歩・給食・昼寝・排泄など)をします。
ただ、クラスでの集まりの際、担任のように前に出るのではなく、子どものサポートに回るといったことが多いかもしれません。

上記でも述べたように、無資格といっても保育士としての業務と、無資格の保育補助が行う業務には、ほぼ大きな違いはありません。
保護者とのやりとり(送り迎えでの子どもの様子の報告)をする園もあるでしょう。
子育ての経験がある方は、たとえ無資格でも、逆に保育士よりも親の育児の相談相手になれる事も多いと聞きます。
プロとしての自覚と自信を持って業務にあたっていけるとよいですね。

全国どこでも「子育て支援員」として働ける

認定制度のメリットの1つとして、無資格でも研修を受けた自治体だけでなく、全国どこでも子育て支援員として働けることが挙げられます
たとえば夫の転勤などで定住が難しい人でも、転居先で新たに研修を受けることなく、子育て支援員として働くことができるのです。

本当に無資格でOKなの?

子育て支援員は主に保育士の資格を持っていない人を対象としているため、当然ながら無資格でも研修を受講することが可能です。
ただし、一部のコースでは、主任保育士としての経験がないと受講できないものもあります。

全国共通の研修を受けることで認定

研修の内容は全国共通。定められた研修を受けることで修了証書が交付され、子育て支援員として認定されます。
コースによって研修時間に差はありますが、研修時間の短いもので18時間ほどの研修で修了証書が交付されるものもあります。
主婦にとっては決められた研修時間の中で受講でき、社会進出ができる嬉しい制度でもあります。
また、子育ての落ち着いた主婦にとっては仕事の選択肢の幅が広がります。

研修はどんなことを勉強するの?

各自治体では無資格者やこれまで保育の現場で働いたことがない人を対象に、保育に関する知識や技術を身につけさせるため、次に紹介する専門研修を実施しています。研修の受講後、認定を受けて無資格でも保育施設での就業が可能になります。
ただし、就業できる施設は研修コースごとに限定されているため、保育士とまったく同じように働けるというわけではありません。

地域保育コース

保育ママやファミリーサポートでの子育て支援など、地域での保育を行う人向けのコース
≪基本8科目+共通11科目+専門16科目  合計43.5時間(別途実習計4日)≫
小規模保育事業・家庭的保育事業・事業所内保育事業・一時預かり事業・ファミリーサポート事業を担う

地域子育て支援コース

子育て支援拠点などで相談員やコーディネーターをして働くことを希望している人向けのコースで、このコースのみ無資格では受講不可(主任保育士経験1年以上必須)
≪基本8科目+専門20科目  合計36.5時間(別途実習計1日)≫
利用者支援事業 基本型・利用者支援事業 特定型・地域子育て支援拠点事業を担う

放課後児童コース

保護者が放課後も働いている小学生に対する、遊びや生活の場の提供を希望している人向けのコース
≪基本8科目+専門6科目  合計18時間≫
放課後児童クラブを担う

社会的養護コース

保護者のいない、もしくは保護者の元で生活させられない子どもたちを、保護し養育することを希望している人向けのコース
≪基本8科目+専門9科目  合計20時間(別途実習計1日)≫
乳児院や児童養護施設等を担う

(参考)厚生労働省 子育て支援員研修(基本・専門)研修科目等(案)

保育士

子育て支援員としての心構え

子育て支援員で働く幅が広がったといっても、現場では“常に子どもの命を預かっている”ことを忘れてはなりません
子どもがよりよく育つための最善の策を考え、有資格者・無資格者ではありますが、現場で働く者たちと同等の立場で、よりよい保育につなげていけるよう、コミュニケーションのキャッチボールをしていきましょう。

また、保護者とのコミュニケーションも重要です。すべては信頼関係で成り立っています。
無資格だとはいっても、プロとしての仕事です。子どもの安全・安心を共に守り、心をこめてお預かりすることでその気持ちは必ず伝わり、安心していただけます。
誠意を込め、丁寧な保育をしていけるとよいですね。

まとめ

2015年から始まった「子育て支援員」制度。
この制度に対して賛成派がいる一方、無資格者が子どもを預かるといった点や、保育士の待遇改善の問題が解決しないままに開始した制度であるといった点から批判の声も多く聞かれています。
いまだ課題の残る制度ではありますが、保育士不足の問題解決にどのように貢献していくのか、今後に注目したいですね。

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記事公開日:2019.04.03

記事更新日:2021.07.12