2022.03.10
保育で活用されるペープサートとは?年齢別のねらいや子どもが喜ぶコツを解説
今回はペープサートの基礎知識を理解して、保育現場で実践する方法を紹介します。
さまざまなアイデアで子どもの興味を引き出し、盛り上がるペープサートを行いましょう。
保育で活用されるペープサートとは
保育の現場で活用されるペープサートとは、紙で作られた人形劇のことを指します。
英語で「Paper Puppet Theater(ペーパーパペットシアター)」と言うため、これが簡略化され造語として呼ばれるようになったものがペープサートです。
キャラクターなどが描かれた画用紙割りばしなどを貼り付けて行うペープサートは、裏と表で表情を変えたり別の絵に変化させることができるため、さまざまな演出ができます。
ペープサートは絵本と違って動きがあるので子どもが食いつきやすく、集中して見てもらえる特徴があります。
またパネルシアターなどに比べると準備が簡単なので、気軽に行うことができるでしょう。
ペープサートは普段の保育に取り入れるのはもちろんですが、イベントの時や保育活動の導入にも活用できます。
保育で活用されるペープサートの年齢別のねらい
ペープサートを実践するときはまず題材を選定する必要がありますが、子どもの年齢に応じたものをねらいを踏まえて選ぶことが大切です。
ペープサートのねらいや題材選びのポイントを年齢別に紹介します。
0~2歳児のねらい
● 人形の動きに興味を持つ
● 豊かな想像力を育む
● 言葉を覚えるきっかけを作る
乳児期の子どもにはペープサートを用いて、興味関心を持ってもらうことが1番のねらいです。
まだ言葉を話せなかったり理解することが難しい年齢ですので、絵の変化が楽しめるものや歌遊びができる題材を選ぶと良いでしょう。
2歳頃になると、簡単なストーリーが少しずつ理解できるようになりますので、普段から読んでいる絵本のお話や、繰り返し表現を多く用いたものを題材にしてみてください。
0~2歳児におすすめの題材は以下のようなものが挙げられます。
● いないいないばあ
● ふうせんのうた
● まあるいたまご
● だるまさんが
● シルエットクイズ
子どもに注目してもらえるようペープサートの見た目を工夫し、保育士自身も楽しみながら行うことがポイントです。
3~4歳児のねらい
● 空想力や発想力を高める
● ストーリーを理解して思考力を養う
● 集中力を育てる
子どもは視覚的に分かりやすいものや動くものに興味を持ちます。
ペープサートのような人形劇は絵本よりストーリーが理解しやすいため、思考力を高めていくことができるでしょう。
また、ペープサートを保育の導入として活用すれば、何か活動を始める前に「これから楽しいことが始まる」というワクワク感を持って集中してお話を聞いてくれるかもしれません。
ペープサートは食育や手洗いなどの指導でも使われることが多く、3~4歳頃の理解力が高まってくる時期から活用できます。
この時期におすすめの題材は以下のものが挙げられます。
● おべんとうバス
● どんな色がすき
● 食べ物クイズ
● すうじのうた
● 歯磨き指導
ペープサートを通して数字に興味を持ってもらったり、食べ物の好き嫌いを克服するきっかけを作ることもねらいになります。
5歳児以上のねらい
● ストーリーの登場人物に感情移入し共感力を育てる
● 知的好奇心を刺激する
● 言語能力を高めて言葉の使い方を学ぶ
5歳児以上になれば複雑なお話も理解できるようになりますので、少し難易度の高いストーリーでペープサートを行うことができるでしょう。
登場人物の気持ちに共感することで、嬉しい気持ちや悲しい気持ちなどを想像することができ、思いやりの心を育てるきっかけにもなります。
5歳児以上なら以下の題材が良いでしょう。
● 人気アニメのアレンジ
● クイズ形式
● 昔話
● イソップ物語
年長にもなると子ども達から題材のリクエストがあるかもしれません。
また、既存の物語だけでなく定番ストーリーを保育士がアレンジしたり、子ども達と一緒に考えても面白いでしょう。
ストーリー作りを通して、想像力や言語能力が育つことが期待できます。
保育で活用されるペープサートを子どもに喜んでもらう秘訣
子ども達に喜んでもらえるペープサートの秘訣を紹介します。
「ペープサートを初めて行う」「子どもに興味を持ってもらえない」と悩んでいる保育士さんはぜひ参考にしてください。
年齢に応じた題材選びをする
ペープサートを行うことが決まると準備に取りかかると思いますが、まず行うことは対象とする子どもの年齢に合った題材を選ぶことが大切です。
先ほど年齢別でねらいを紹介したように、年齢によって合う題材は異なります。
発達に合わない題材を選んでしまうと、興味を持ってもらえなかったり、途中で飽きてしまったりすることも考えられますので、適切な題材選びを心がけましょう。
事前に練習を行う
紙人形が完成したら必ず練習を行いましょう。
練習をせずにいきなり本番を迎えると、想定外のことが起こったり失敗のリスクが高まります。
紙人形を動かしながらセリフを言うのは意外に難しいものです。
それに加えて、子ども達の様子を観察しながら進めていかなければならないため、繰り返しの練習が大切です。
人形や台本を置く場所、人形を出す順番、複数人で行う場合は保育士の位置など、事前に確認しておくべきところはたくさんあります。
子どもの目線でどう映るのかも確かめておく必要があるので、他の保育士に観客側からチェックしてもらいましょう。
動かし方を工夫する
紙人形をひっくり返すことによってキャラクターの表情を変化させることができるのがペープサートの最大の特徴です。
この特徴を活かすためにも棒を指先で素早く回転させ、パッと裏表が逆になるように動かし方を工夫しましょう。
ペープサートにはさまざまな技法がありますが、例えば人形を上下に動かしながら横移動させると歩いているように見えます。
他にも、登場人物がセリフを発しているときだけその場で小さく動かすと、どのキャラクターが話しているのか見ていて分かりやすいかもしれません。
声の出し方を変えたりはっきりした声で話す
保育士1人でペープサートを行うときは、1人で何役も演じることが多いでしょう。
その場合は声のトーンを変えたり強弱を付けたりしながら、聞き取りやすいはっきりした声で話すことが重要です。
子どもの様子を見ながらアドリブを効かせて問いかけをしてみたり、声に表情を付けることでより興味を持ってみてもらえるでしょう。
子どもが参加できる演出を行う
事前準備や練習を入念に行ったのに、意外にも盛り上がらなかったというパターンがあります。
これは、年齢に合っていない題材を選んでしまった、単にストーリーがつまらなかったというケースも考えられますが、子ども達が参加できるタイプのペープサートならみんなで楽しむことができます。
年長児でも集中力は思っている以上に短いため、お話が長いときは途中でクイズを挟んでみたり、歌を取り入れるなどの工夫をしてみましょう。
保育にペープサートを取り入れて子ども達を楽しませよう
ペープサートは作るのが簡単でアレンジもしやすいため自由度が高く、どの年齢の子ども達にも楽しんでもらえるものです。
活動前の導入や日常生活の指導にも活用できますので、子どもに喜んでもらえるコツをおさえて実践してみてください。
今回紹介した年齢別のねらいが達成されるよう、子どもの発達に応じたペープサートを保育に取り入れましょう。
記事公開日:2022.03.10
記事更新日:2022.03.10