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2022.03.09

建国記念の日とは?子どもに分かりやすく説明し楽しく過ごす方法や基礎知識

建国記念の日とは?子どもに分かりやすく説明し楽しく過ごす方法や基礎知識

まずは建国記念の日がどんな意味を持つ祝日なのか確認していきましょう。

意味や由来を正しく知ることで、建国記念日との違いも理解できるようになります。

建国記念の日とは?意味と由来

建国記念の日とは、1966年(昭和41年)に制定された日本の祝日です。

この日は日本ができたことをお祝いする日で、毎年2月11日と決められています。

建国記念の日の成り立ちを理解して、日本の歴史を詳しく知りましょう。

建国記念の日の由来は初代天皇にある

建国記念の日は、日本の初代天皇である「神武天皇」が即位したとされる「紀元節(きげんせつ)」と呼ばれる祝日が由来と言われています。

紀元節は、日本書紀や古事記などに記載されている内容によると、紀元前660年2月11日が即位日のため、現在も2月11日が祝日となっています。

しかし、実際に紀元節が祝日として制定されたのは1873年(明治6年)です。

それから1948年(昭和23年)までの75年間は祭日として親しまれてきましたが、終戦の際にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の考えにより、紀元節はなくなりました。

廃止された理由は、皇室や神道などを国民から切り離そうとしたからと言われています。

廃止後、1951年頃から紀元節復活を望む声が国民から多くあがり、数々の祝日法改正運動が行われて何度も国会に法案が提出されました。

しかし、神武天皇の存在を確認することができないため、ことごとく廃案されてしまいます。

そのような経緯がありながらも、「日本が建国されたことを記念する日」という解釈で、1966年にようやく建国記念の日が復活しました。

建国記念の日の意味は法律で示されている

建国記念の日は「国民の祝日に関する法律」を確認してみると「建国をしのび、国を愛する心を養う。」という意味であることが分かります。

参考:「国民の祝日」について 内閣府

簡単に説明すると、日本ができたことを祝って大切に想う気持ちを育むという意味です。

国民の祝日に関する法律では、建国記念の日だけ日付が明確に示されていません

「2月11日じゃないの?」と思うかもしれませんが、「政令で定める日」とされているのです。

これは、先ほど説明した紀元節の由来に起因しています。紀元節の元となった神武天皇は神話の中の人物であり、確かな存在ではないといった理由から、2月11日の建国記念の日のみ政令で定める日としているのです。

建国記念の日と建国記念日の違いとは

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「建国記念の日」と「建国記念日」は同じ意味のように思えますが、2つに違いはあるのでしょうか。

多くの人は「建国記念日」と口にしてしまうかもしれませんが、実はこの2つ、正確には意味が異なります

子ども達に「建国記念日」ではなく「建国記念の日」と教えるためにも、保育士さんは違いについて正しく理解しておきましょう。

先ほど「建国記念の日」について詳しく説明しましたので、まずは「建国記念日」がどのようなものなのか解説します。

建国記念日は日付が明確でなければならない

建国記念日は日本だけでなくほとんどの国で制定されています

全てではありませんが、世界の多くは建国記念日を「国家が独立した日」として定めていて、国によって建国記念日や独立記念日、その国特有の名称で呼んでいます。

過去、世界中でさまざまな戦争や革命が起き、他の国から占領されてきた歴史のある国は独立した日を「建国記念日」としていることが多いため、日にちが明確です。

例えば、アメリカの建国記念日(独立記念日)は、アメリカ独立宣言が公布された1776年7月4日が起源です。毎年7月4日になると盛大にイベントが開催され、約1週間パレードが行われ花火が打ち上げられます。

他にも、フランスの場合は7月14日が建国記念日(フランス革命記念日)です。

フランス革命のきっかけとなった「バスティーユ襲撃」が起源となっていて、現在日本では「パリ祭」として知られています。

上記は一例ですが、このように建国記念日は歴史的に確証があるものがほとんどなのです。

2つの違いは史実上の確証があるかどうか

日本の場合、「紀元節の元になっている神武天皇の存在がはっきりしない」「日本ができた正確な起源が分からない」といった曖昧さがあります。

そのため、2月11日を建国記念日として制定することができず、「建国を祝う日」として「建国記念の日」が定められたのです。

建国記念の日と、建国記念日は「の」があるかないかの違いだけに思えますが、深い意味があることが分かりました。

「建国記念の日」を制定しているのは世界の中でも日本だけです。

多くの国が独立記念日や国王の誕生日を制定しているなか、日本だけが紀元前に存在したとされる神話の人物の即位日を建国記念の日にしています。

しかし、日本は現存している国の中で最も古い国としてギネス認定されているほど、長い歴史を持つ国であることは間違いありません。

幼児期の子どもに歴史はまだ早いと思われるかもしれませんが、建国記念の日は日本のことを詳しく知る機会でもありますので、「日本は世界で一番古い国なんだよ」と、簡単に説明するだけでも興味を持ってもらえるかもしれませんね。

「建国記念の日とは」を子どもに分かりやすく伝えるには

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建国記念の日は、正確に言うと「日本ができた日」ではなく「日本ができたことをお祝いする日」です。

細かい違いではありますが、子ども達には正しく伝えていきましょう。

建国記念の日とはどのような祝日なのか、簡単に伝える例をいくつか挙げます。

● 2月11日は建国記念の日と言って、神武天皇という人が日本で初めて天皇になった日なんだよ。今から2000年以上も前のことで大昔のことだけど、日本ができたことをみんなでお祝いしようね。

● みんながお誕生日になるとお祝いするように、日本ができたこともお祝いするんだよ。日本を大切にする気持ちで過ごそうね。

保育士が建国記念の日について説明すると、「建国記念の日って何をするの?」と子どもから質問されるかもしれません。

そのようなときは「日本がつくられた日のことをお祝いするために、全国でイベントが開かれてパレードをしたりするよ」と教えてあげましょう。

建国記念の日に興味を持ってもらえるよう、分かりやすく説明できると良いですね。

建国記念の日を子どもと楽しむ方法とは

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続いて、建国記念の日を子どもと一緒に楽しく過ごす方法を紹介します。

祝日は休園である園が多いと思いますので、建国記念の日の前日の保育活動に取り入れ、家庭での過ごし方の参考として保護者の方に伝えても良いでしょう。

神話にまつわる絵本を読む

建国記念の日は神話に出てくる神武天皇が由来しているため、日本書紀や古事記が元になっている絵本を選んで子ども達に読み聞かせをするのもおすすめです。

例えば「くにのはじまり」という絵本では、日本の神様がたくさん登場し、日本ができた成り立ちが物語として理解できます。

他にも、以下のような神話が同じシリーズとして出版されています。

● あまのいわと

● やまたのおろち

● いなばのしろうさぎ

● すさのおとおおくにぬし

● うみさちやまさち

絵本と言っても子どもにとっては難しい内容なので、保育士が意味をかみ砕いて分かりやすく読み聞かせてあげる必要があるでしょう。

「くにのはじまり」を子どもでも分かるように簡単に説明するときの例を挙げます。

「昔々、イザナギとイザナミという男女の神様がいました。

2人は大きな島をつくり、35人の神様をうみました。

しかし最後にうんだ火の神様によってイザナミは火傷をしてしまい天国へ行ってしまいます。

イザナギはイザナミに会いたくて天国まで行ってみましたが、生きている神様が行ってはいけない場所でした。

鬼たちに追われるイザナギはなんとか逃げてきましたが、けがれを落とすために水に入って身体をきれいにしました。すると、身体を洗うたびに神様がうまれたのです。

アマテラスという神様は天の国を、ツクヨミという神様は夜の国を、スサノオという神様は海を守るようになり、これが国のはじまりです。」

絵本の読み聞かせでも良いですが、パネルシアターやペープサートなどを活用すると、より話の内容が伝わるかもしれません。

世界地図を見て日本の位置を知る

建国記念の日は、日本がどういう国なのかを知る良い機会です。

幼少期から地図に触れることで、日本は海に囲まれた島国であることや、どんな形をしているのかを学ぶことができます。

広い世界地図の中から日本の位置を確認し、日本以外にもたくさんの国があることを知ることも大切です。

子どもは興味があるもの以外は見向きもしませんので、都道府県や国の特産物を書き込むなど工夫してみてくださいね。

みんなでおむすびを作って食べる

「建国記念の日におむすび?」と疑問に思った人もいるかもしれません。

あまり世間では浸透していませんが、2017年頃から「日本の誕生日である建国記念の日に、おむすびを食べよう」という取り組みが行われています。

日本は稲作文化によって発展してきたことから、おむすび(お結び)を食べてお祝いしようと全国の神社でイベントが行われるようになりました。

おむすび作りは包丁や火を使わないため保育活動にも取り入れやすく、子どもたち自身で握ることができるため、みんなで楽しめるでしょう。

建国記念の日とはどんな祝日なのか子ども達に分かるように説明しよう

今回は、建国記念の日の基本的な知識と子どもに分かる伝え方について紹介しました。

建国記念日と名前が似ていますが2つは別物で、建国記念の日は日本ができたことを祝う大切な日です。

建国記念の日が制定されるまでの歴史は深く、子ども達に説明するのは少し難しく感じてしまうかもしれませんが、神話の絵本などを上手に活用して分かりやすく意味を伝えていきましょう。

記事公開日:2022.03.09

記事更新日:2022.03.09