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2022.01.13

加配保育士とはどんな仕事?給料や必要なスキル・資格について

加配保育士とはどんな仕事?給料や必要なスキル・資格について

加配保育士の仕事内容や役割について説明するとともに、働くための条件や国からの補助金制度などについても紹介します。

加配保育士とはどんな仕事?

加配保育士とは「障がいを持つ子どもや発達に遅れがある子どもを支援するために配置される保育士」のことです。

配置基準は各自治体が定めており、障がいの程度など専門的側面から判断され、障がい児1~4人に対し加配保育士1人としています。

マンツーマンのこともあれば、クラス運営の手助けをすることもあったりと、園によって加配保育士の仕事範囲はさまざまです。

また、障がいと言っても種類や特性などにより大きく違いがありますので、その子どもによって保育士が行うべき支援も異なります。

では、加配保育士の具体的な仕事内容や役割を見ていきましょう。

子どもの生活支援

加配保育士の主な仕事としてまず挙げられるのは、子どもの支援です。

障がいの特徴や発達状況を把握し、成長を支えながら子どもが安心して過ごせる環境を構築していく必要があります。

重要なポイントは、子どもと信頼関係を築くことです。

集団活動が難しい子や友達と上手に関われない子、言葉で表現できない子など色々なケースがありますが、保育士は障がい児にとって安心できる存在になることが大切です。

その子のペースに合わせて活動を行ったり、他児と円滑にコミュニケーションが取れるようサポートすることも加配保育士の役割と言えるでしょう。

障がいには、自閉症・ADHDなどさまざまものがありますが、子ども達が安心安全に過ごすことができ、怪我や事故が起こらないよう見守ることが大切です。

また、身体障がいがある子どもの場合は、加配保育士が排泄介助・食事介助・衣服の着脱などを行うこともあります。

個別保育計画の作成

通常3歳児以上であれば、クラスごとに年間指導計画や月案などを作成しますが、障がいのある子どもに対しては個別で保育計画を作る必要があります。

その子どもに合った保育計画や目標を設定し、無理なく過ごしやすい園生活が送れるように支援していくことが加配保育士の役割です。

個別保育計画の作成は、担任保育士と相談しながら行われることが多いでしょう。

園と療育機関の連携が取れている場合は、療育機関の専門家の話を参考にして、その子どもに適した保育計画を作成していきましょう。

外部機関・担任保育士・保護者との連携

療育センターは子どもの障がいを専門的に扱っている機関ですので、加配保育士や担任保育士は連携を取りながら子どもの発達状況を共有していく必要があります。

障がい児の保育を担当するのは加配保育士の仕事ですが、その子どもの責任を持つのはクラスの担任保育士です。

そのため、日頃から担任保育士とは密に連携を取り合い、情報共有をしていくことが重要です。

療育機関に通っている子どもであれば、保育園と療育機関が子どもの様子を伝え合うことで、より障がいの理解を深めていくことができるでしょう。

また、保護者とも連携を取ることが大切です。

家庭でどのように過ごしているのか、子どもの得意なことや苦手なことなどは保護者に聞いて、保育に活かしていきましょう。

保育士は保護者の相談相手となれるような良好な関係を築いていくことが求められます。

加配保育士は給料どのくらい?

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続いて気になる加配保育士の給料について紹介します。

加配保育士は保育士の資格さえあれば経験など関係なく誰でも働くことができるため、通常の保育士の給料と同じであることが多いでしょう。

保育士の給料は厚生労働省が公開しているデータによると、2020年度で月額平均約25万円です。

これは正社員の場合ですが、加配保育士は障がい児のサポートに加え担任の補助をすることが多いため、パートとしての募集がほとんどです。

保育士の給料を時給換算すると大体1,100~1,500円ほどになります。

しかし、求人に「経験を考慮」などと書かれていて、これまで児童発達支援などで障がい児保育に携わってきた経験がある人は、給料アップの可能性もあるかもしれません。

加配保育士に必要なスキルや資格

加配保育士として働くために、必要な資格は保育士資格のみです。

保育士資格があれば他に特別な資格は必要ありません。

しかし、適切に障がい児をサポートをしていくためにはスキルが必要とされています。

障がいに関する知識

障がい児が安心して園生活を送りながら成長できる環境を作るためには、子どもの障がいに対する正しい知識を持つことが大切です。

担当する子どもの障がいについて知識を深めるとともに、その子にどのような支援を行っていくべきなのか考える必要があります。

障がいを正しく理解することで、子どもがパニックを起こしたときなどに保育士は慌てることなく適切なサポートをしていくことができるでしょう。

例えば、自閉症の子どもはこだわりが強く環境の変化が苦手な子が多いです。

また、先の見通しがつかないことに強く不安を抱くことがあるため、いつもと違うことを行うときには事前に伝えることが必要です。

伝え方も、絵カードなどを使用して目で見てわかりやすい方法が望ましいでしょう。

しかし、あくまでこれは一例であり、自閉症の子ども全てに当てはまるわけではありません。

担当している子どもの性格や特徴を見極めて、個別に対応することが大切です。

障がい児保育では予想していないようなことが頻繁に起こると思いますが、どのような状況においても保育士の冷静な対応が求められます。

子どものペースを大事にし、障がいの特性に合った関わりをしていきましょう。

保護者支援

障がいのある子どもの子育てに不安を抱いている保護者に対し、適切なアドバイスをするスキルも加配保育士には必要とされています。

育児に悩みを抱える保護者の相談に乗ったり親身になって話を聞くことで、保護者とともに子どもの成長を喜び合える関係を築いていくことができるでしょう。

障がい児のサポートは、家族支援ありきで行っていくものです。保護者の気持ちに寄り添う姿勢を大切にしながら、園での子どもの様子を共有していくことが大切です。

子どもに向き合って一人ひとりに寄り添う

障がい児と関わる上で重要なことは、自分が担当している子どもの理解を深めることです。

例えば同じADHDの子どもが2人いたとしても、その2人は全く違った子どもです。

子どもそれぞれで特徴は異なりますので、たとえ勉強をして障がいに関する知識を得ていたとしても、思っている通りにならないことは多いでしょう。

特に言葉でうまく表現できない子どもの場合は「何に困っているのか」「何を求めているのか」を汲み取り、適切な声かけやサポートするスキルが加配保育士には必要です。

思っている以上に信頼関係が築かれるまで時間がかかるかもしれませんが、今目の前にいる子どもをしっかりと捉えて、一人ひとりに寄り添った支援を行っていきましょう。

加配保育士になるための条件

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前述のとおり、加配保育士になるためには保育士資格を取得する必要があります。

資格取得のためには、大学や短期大学などの保育士養成学校に通うか、保育士国家試験を受験して取得するかの2通りです。

どちらにしても資格取得のためには、福祉や障がい児保育に関する勉強が必須です。

特に学校に通う保育学生の場合、実習で保育園以外にも児童福祉施設などでの実習も行われますので、資格取得のための勉強を通して障がい児に関する知識を学ぶことができるでしょう。

ただし、加配保育士は求人が非常に少ないので「加配保育士として働きたい」と思っても、勤務先を見つけるのは難しいかもしれません。

求人が少ない理由は、そもそも障がい児の受け入れをしている保育園が少ないことが挙げられます。

採用促進のための補助金制度とは

加配保育士を配置するためには保育園や保護者からの申請が必要です。

病院からの診断書や療育センターからの書類を元に審査が行われ、申請が通ると加配保育士を配置するための補助金が国から支給される仕組みとなっています。

補助金は加配保育士の雇用に必要な「療育支援加算」と、地域型保育事業の障がい保育を支援するための「障がい児保育加算」の2つがあります。

それぞれについて詳しく解説します。

療育支援加算

療育支援加算は、障がい児保育を受け入れている園で適用される補助金制度です。

特別な配慮が必要な子どもに手厚いサポートができるよう、担任保育士とは別に加配保育士を配置することを目的に作られた制度です。

加配保育士を配置したことにより保育士一人当たりの給料が減らないよう、療育支援加算が利用されます。

また、加配に必要な費用を国が負担することで障がい児保育の質を高めることも期待されています。

障がい児保育加算

障がい児保育加算は「小規模保育」「事業所内保育」「家庭的保育」の施設が主な対象となっています。

規模の小さい保育所で障がい児を受け入れる場合は、障がい児2人に対し加配保育士1人が支給基準として定められています。

障がい児保育加算の目的は、小規模保育でも丁寧な障がい児保育を実施するためです。

加配保育士とは障害のある子どもを担当して適切にサポートしていく保育士

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今回は加配保育士の仕事内容や役割について詳しく紹介しました。

保育士の資格さえあれば加配保育士として働くことができますが、実務を行う際には障がいに対する専門的な知識が必要となります。

加配保育士は、子どもの成長を保護者と喜び合うことができる仕事ですので、やりがいを感じることができるでしょう。

求人数は少ないかもしれませんが、加配保育士として働くことを考えている保育士さんはぜひチャレンジしてみてください。

記事公開日:2022.01.13

記事更新日:2022.01.13