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2021.12.22

保育士が退職金を貰える条件や相場について解説!

保育士が退職金を貰える条件や相場について解説!

退職金は勤続年数が長いと多く貰えるイメージがありますが、保育士の場合はどうなのでしょうか。

保育士が退職金を貰うための条件相場などを解説していきます。

保育士が退職金を貰える条件は運営形態によって異なる

勤務先の保育園が「公立保育園」「私立保育園」どちらの運営形態なのかによって、退職金を貰える条件は変わってきます。

公立保育士の条件は地方公務員の退職制度に基づく

公立保育園で働く保育士は、公務員保育士です。そのため地方公務員としての待遇を受けることになりますので、退職金に関しては各自治体が定める額で支給されます。

総務省は地方公務員の退職手当制度について、勤続年数1年以上で支給するとしています。[注1]

[注1]総務省 地方公務員の退職手当制度について

1年以上公立保育士として働いていれば、退職金は貰えるということになります。

ひとつ注意点として、公立保育園で勤めていたとしてもパート・アルバイト・非常勤の場合は対象外です。

私立保育士の条件は園の就業規則に基づく

私立保育園の場合は、園の就業規則によって貰えるかどうかは異なります。

就業規則で「勤続3年以上」と決められていれば、3年勤務していないと貰えません。

退職金に関して言えば、私立保育園は一般企業と同じなので、退職金制度を導入していない園も数多くあります。

退職金制度は法律で義務付けられていませんので、支払われなくても法律的には問題ありません

私立保育園の場合も、基本的に退職金制度の対象になるのは正社員のみです。

パートやアルバイトでも退職金を貰える可能性はゼロではありませんが、給付される事例は非常に少ないです。

保育士の退職金の相場はどのくらい?

続いて気になる退職金の相場と、金額の計算方法について紹介します。

退職金の額は一般的に月給と勤続年数などで計算します。

相場の計算方法も保育園の運営形態で異なりますので、それぞれ見ていきましょう。

公立保育園の退職金相場は最大月給×59.28%(支給率)

公立保育園の場合は、地方公務員の退職金の計算方法と同じです。

以下は、総務省が定める退職金算出方法と支給率です。[注2]

退職手当額 = 基本額 + 調整額

基本額 = 退職日給料月額 × (退職理由別・勤続年数別支給率)

調整額 = 調整月額のうち、その額が多いものから60月分の額を合計した額

 

[注2]総務省 地方公務員の退職手当制度について

調整額とは、働いていた期間中の貢献度に応じて加算される金額のことです。

1~10の区分で分けられ、調整月額は自治体によって異なります。

勤続9年未満で自己都合退社の場合は調整額が支給されません。

また勤続10年以上、24年以下の自己都合退社の調整額は半額になりますので注意してください。[注3]

[注3]総務 退職手当の調整額について

いくつか例を挙げて、保育士の退職金をシミュレーションしてみると下記のようになります。

 ● 勤続5年・月給20万・自己都合退社の場合

(退職日の給料月額:200,000円)×(支給率:3.0)= 600,000円

 ● 勤続30年・月給35万・定年退職の場合

(退職日の給料月額:350,000円)×(支給率:50.7)= 17,745,000円

※自治体が定める調整額も加わるので実際はこれ以上貰えます。

公立保育園で働く保育士が定年退職を迎えると、相当な額の退職金が貰えることが分かります。

私立保育園の退職金相場は園によって異なる

独自で退職金制度を導入している私立保育園の場合、その園によって退職金の額は大きく変わりますので、一概にこのくらいであるとは言えません。

しかし、もし園が「退職手当共済事業」に加入しているのであれば「退職手当金計算シミュレーション」である程度の相場を計算できます。[注4]

 ● 勤続5年・月給20万・自己都合退社の場合

計算基礎額(退職前6カ月の平均本俸月額):190,000~204,999円

シミュレーション金額:495,900円

 ● 勤続30年・月給35万・定年退職の場合

計算基礎額(退職前6カ月の平均本俸月額):340,000~359,999円

シミュレーション金額:12,275,700円

[注4]独立行政法人 福祉医療機構

共済組合の場合、退職理由によって同じ勤続年数でも貰える金額が変わってきますが、退職理由は「普通退職」と「業務上死亡・傷病」の2種類しかありません。

公立保育園のように定年退職なら支給率が上がるようなことはないのです。

私立保育園は定年退職であっても普通退職として扱われますので、自己都合退社した場合の金額と同じになります。

保育園の運営元が社会福祉法人の場合、退職手当共済事業に加入している可能性がありますので確認してみましょう。

退職金の支給されるタイミングは1~3ヶ月以内が目安

退職金が支給されるタイミングも、公立保育園と私立保育園で若干異なります。

公立保育園は、国家公務員退職手当法により、退職後1ヶ月以内に振り込まれることになっています。

私立保育園は就業規則や園が加入している退職金共済の種類によって1〜3ヶ月と幅がありますので、いつ振り込まれるのか知りたい場合は、共済組合に問い合わせることをおすすめします。

園が加入している共済組合が「退職手当共済事業」だった場合は、退職手当金請求書が組合に届いてから、約2か月で振り込まれます。

3月は退職者が多いため、通常よりも支給に時間がかかりますので注意が必要です。

いずれにしても振り込まれるまで最短で1ヶ月ほどかかりますので、すぐに貰えるわけではないことを覚えておきましょう。

保育士への転職を考えているなら、退職金の有無を事前に確認すべき

退職金が貰えるか貰えないかで生涯年収に大きな差が生まれます。

そのため、転職を考えている保育士は事前に退職金があるかどうかを確認しておくべきです。

しかし入社前、自分で直接保育園に退職金の有無を聞くのはなかなかできるものではありません。

運営形態が私立保育園の場合、退職金制度を導入していない可能性がありますので、求人サイトを隅々まで確認しましょう。

退職金制度は求職者にとってメリットに感じてもらえるものなので、保育士不足の現代において保育園は求人を公開する際のアピールポイントになるものです。

そのため、導入している場合は求人情報の福利厚生欄に記載されているはずです。

転職活動を行うときは見落としのないよう、チェックしてください。

また、求人情報に退職金についての記載がない場合でどうしても直接園に聞きたいときは、自分で確認するのではなく転職サービスを利用し、アドバイザーを通して確認してもらうのが無難でしょう。

保育士として働くなら退職金が貰える保育園を選ぼう

保育士が退職金を貰える条件や相場は、公立保育園と私立保育園で大きな違いがあることについて紹介しました。

勤続年数退職の理由によっても貰える額は変わってきます。

必ずしも退職金は貰えるわけではないことに注意し、今後転職を考えている保育士さんは求人情報をよく確認して退職金制度を導入している保育園を選ぶようにしましょう。

記事公開日:2021.12.22

記事更新日:2021.12.22