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2021.12.07

保育士のサービス残業は当たり前?平均残業時間や残業なしを実現するための取り組みを解説

保育士のサービス残業は当たり前?平均残業時間や残業なしを実現するための取り組みを解説

残業代がしっかり出ているのであればまだしも、サービス残業や持ち帰り仕事が多い保育士さんが「辞めたい」と思うのは無理もないことです。

今回は保育士の残業時間の実態と、残業を減らすためにできる取り組みについて解説します。

残業や持ち帰り仕事が多くて悩んでいる保育士さんはぜひ最後までご覧ください。

保育士の平均残業時間とサービス残業の実態

気になる保育士の平均残業時間ですが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査のデータを見てみると、1ヶ月4時間とされています。[注1]

常勤保育士は1ヶ月で22日前後の出勤日があると思いますので、計算してみると1日当たりの残業時間は約10分ということになります。

「保育士の1日の残業時間が10分だなんてありえない」とほとんどの保育士さんが思うことでしょう。

厚生労働省が示すデータの残業時間には、サービス残業や持ち帰り残業は含まれていません

仕事量が多く、毎日残業している保育士さんも少なくないと思いますので、多くの園でサービス残業が常習化している可能性が考えられます。

残業代を支払わないのは労働基準法違反となりますが、保育士の仕事はサービス残業が当たり前という風潮が昔からあります。

そのため、声を上げづらい状況が保育業界で長いこと続いているのかもしれません。

仮に1日2時間ほどの残業をしているとすると、1ヶ月で40時間以上の残業時間が発生します。

そうなると、23万円の給料をもらっている保育士の場合の残業代はおよそ5万円を超えるでしょう。

保育士の給料は保育料や国からの補助金でまかなわれているので、支払うことができる残業代にも限界があります。

そもそも残業代が払えないという保育業界の実態に問題がありますが、保育士の労働環境は以前と比べると改善しつつあります

最近では保育士の過酷な労働環境がニュースなどに取り上げられるようになってきましたので、今後さらに改善されていくのではないでしょうか。

[注1]e-Stat 政府統計の総合窓口|賃金構造基本統計調査

保育士の残業が多くなる主な原因

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続いて、保育士の残業が多くなってしまう原因を3つ紹介します。

1. 仕事量が多い

保育士の仕事は多岐にわたるため、全ての業務を所定の勤務時間内で終わらせることは難しいです。

業務内容には以下のようなものが挙げられます。

 ● 保育指導案の作成(日案・週案・月案など)

 ● 保育日誌の作成

 ● おたより作成

 ● 連絡帳の記入

 ● 保護者対応

 ● 製作物の用意

子どものお世話以外でもこれだけの業務をこなさないといけないため、仕事量が多いことは残業時間を増やしている1番の理由でしょう。

また保育園では子どもが帰ったあとに会議を行ったり、休みの日には外部研修に参加しなければならないこともあります。

2. 人手不足

保育士不足はなかなか改善されず、少ない人員で運営している保育園も多いことでしょう。

そもそも国が定める保育士の配置基準は例を挙げると、4~5歳の子ども30人につき保育士1人というかなり無理のある設定です。

実際は担任以外に副担任がついていることがほとんだだと思いますが、基準人数ギリギリで現場を回している園の保育士さんは子どもを見るのに精いっぱいでとても他の業務をこなす余裕などないでしょう。

そうすると書類作成などの事務仕事は、子どもを帰した後に残業としてやらざるを得ないのです。

3. 行事が多く持ち帰り仕事が発生する

保育園では毎月のように行事が行われています。

入園式・七夕・夏祭り・運動会・遠足・クリスマス・お遊戯会など1年中イベントが開催されていることでしょう。

その都度、毎回保育士は行事計画を立て、製作物の準備を行っています。

行事の準備は通常の業務と並行して行うのは難しく、製作物系や書類の作成は持ち帰って家で行うという保育士さんが多いのです。

保育士には必要な残業と不要な残業がある

保育士の仕事は基本的にどれも子供を保育するうえで必要な業務ばかりです。

毎日書く保育日誌などは、次の日に持ち越すことができないため、残業してでも終わらせる必要があるかもしれません。

しかし、なかには簡略化できる業務もあります。

例えば毎月作成するおたよりですが、ある程度型を決めておけば、作成時間を短縮させることができるのではないでしょうか。

他にも、行事の製作物は使いまわしたり、去年のものをアレンジすることも可能です。

保育士さんのなかには、子どもに喜んでもらいたい気持ちから、行事の準備に力を入れすぎてしまう人もいるかもしれません。

ですが、保育士の負荷を減らすためにも装飾物は子どもと一緒に作ったり、他の保育士さんと協力しながら行うなどの方法を取り入れていくことが大切です。

保育士の残業時間を減らすための取り組み

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保育士として今後も働いていくのであれば、長時間労働は解決しておきたい問題です。

残業時間を減らすためには、残業時間が多い原因となるものを改善していく取り組みが必要です。

例えば保育士の業務全般の見直しや、行事のあり方について園全体で話し合う必要があるでしょう。

人手が足りなくて1人の保育士の負荷が大きいのであれば、人員を増やす取り組みを積極的に行っていくことが求められます。

しかし、そうは言っても園長など運営側が、保育士の労働環境改善を考えてくれない限り、なかなか良い方向に進まないのが現状です。

残業時間を減らすために、保育士ができることについても考えてみましょう。

1. タスク管理を行って優先順位を決める

実際に1日のうちにどれほどの仕事をしなければならないのか、保育以外の仕事を洗い出す作業を行ってみましょう。

ざっと洗い出しを行うと、意外とやらなくても良いことが見えてくるかもしれません。

必ず今日中に終わらせなければならないものを最優先にし、重要なものから手を付けていくようにしましょう。

できれば他の保育士と連携を取って、1人の保育士に負荷が集中しないよう仕事を分担することが望ましいです。

2. 先輩や園長に相談する

上司や園長に現在の状況について相談してみるという手もあります。

いきなり園長に相談するのはハードルが高いと思いますので、まずは主任保育士や先輩に話してみましょう。

ベテラン保育士さんに相談すれば、効率の良い業務の進め方書類作成のコツなどアドバイスをもらえるかもしれません。

また全体的に残業問題を抱えている園であれば、同じ気持ちの保育士複数人で園に現状の改善を求めることもできます。

3. 残業が少ない保育園に転職する

残業時間短縮のために保育士個人ができることは限りがあります。

他の保育士が当たり前のように残業をしていたり、改善のための取り組みに消極的な園もあるでしょう。

そのような場合は、転職することも考えてみてください。

慢性的な残業はストレスや疲労を蓄積させ、子どもの保育にも悪い影響を及ぼす可能性があります。

保育士を手厚く配置している園や、事務作業にシステムを導入している園は、残業時間が少ない傾向にあります。

残業の多い保育士は原因を把握して改善を試みよう

今回は、保育士の残業時間の実態と改善のための取り組みについて紹介しました。

保育士は業務量が多く、常に人手不足の業界ですのでサービス残業が当たり前になっているのが現状です。

保育士として無理なく働くためにも転職を視野に入れて、残業時間を減らす取り組みを行っていく必要があります。

記事公開日:2021.12.07

記事更新日:2021.12.07