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2021.11.19

モンテッソーリ教具の選び方や年齢別の活用ポイントを徹底解説

モンテッソーリ教具の選び方や年齢別の活用ポイントを徹底解説

モンテッソーリ教育は子どもの自主性や集中力が身につくとして、近年注目されている教育法です。

モンテッソーリ教育を導している保育園では、子どもが主体的に活動できる環境が用意されています。

本記事では、保育園で使用するモンテッソーリ教具の選び方や年齢別の活用ポイントなどを紹介します。

手作りモンテッソーリ教具でできることや注意点

モンテッソーリ教育では、教具と呼ばれる知育のための玩具を使用します。

まずは手作りモンテッソーリ教具でできることと注意点について紹介します。

日常生活の練習ができる

子どもは自分で自立に向かって成長する力があるため、誰に教わるわけでもなく歩いたり言葉を覚えていくことができます。

このような「自己教育力」を促す手段として、モンテッソーリ教具が使用されます。

モンテッソーリ教育では指先を使った教具を使うことが多いため、手先が器用になることが期待できます。

手先が器用になれば、着替えるときのボタンの付け外しや、制作活動におけるハサミやノリの使い方、食事では箸の持ち方など、日常生活で必要な動作を園児が習得しやすくなります。

モンテッソーリ教具は市販のものもたくさん売られていますが、手作りでできる教具を使っても、同じような効果が得られるでしょう。

さまざまな感覚が養われる

モンテッソーリ教育には「敏感期」というものが存在します。

敏感期とは、主に0~6歳の乳幼児期に見られる感受性が高まる時期のことを指し、いくつか種類があります。

 ● 感覚の敏感期(0~6歳)
 ● 秩序の敏感期(6ヶ月~3歳)
 ● 運動の敏感期(6ヶ月~6歳)
 ● 言語の敏感期(7ヶ月~6歳)
 ● 数の敏感期(3歳~6歳)
 ● 文化の敏感期(5歳~)

なかでも感覚に関する発達は知育の基本的なものとして、モンテッソーリ教育でも重視している要素です。

子どもは目の前にあるものをなんでも触ったり口に入れたりする時期があります。

特に乳児クラスを担当している保育士は誤飲事故が起こらないよう、日々注意しながら保育を行っているでしょう。

ですが、これは感覚の敏感期の表れなので、子どもに適切な教具や環境を用意してあげることで、発達を促すことができます。

言葉の習得を促す

子どもはある時期から言葉に興味を持ち始めるようになります。

前述のとおり、言葉にも敏感期がありますので、保育士は積極的に手作りモンテッソーリ教具を使って言葉を学ぶ機会を増やしてあげましょう。

言葉の敏感期には「話し言葉」と「文字言葉」の2種類があり、文字言葉に興味を持つようになるのは3歳半~6歳頃と言われています。

この時期の子どもは次から次へと文字を理解し吸収していくので、モンテッソーリの言語教育を取り入れると良いでしょう。

例えば、文字と絵が描かれたカードをそれぞれ組み合わせる手作り絵カードは、文字への興味を持たせ、語彙力を育んだり読みの練習を行うきっかけを作ってくれます。

モンテッソーリ教育における注意点

モンテッソーリ教育で重視されている「子どもの自主性を尊重する」ために、保育士は必要以上に声かけをしないようにしましょう。

モンテッソーリ教育の特徴の一つに「縦割り保育」があります。

縦割り保育とは、別名「異年齢保育」とも言い、さまざまな年齢の子どもを同じクラスで保育することをいいます。

縦割りクラスの年長児は、年少児のお手本となるような振る舞いをしたり、困っている小さな子を助けようとしたりと、自然と思いやりや協調性を学ぶことができるでしょう。

対して年少児は、「おにいちゃんやおねえちゃん」達の姿を見て「自分もこうなりたい」と憧れを抱き、真似をしたり見習おうとします。

子どもたち同士で共に学び合って、成長していくことが期待できるモンテッソーリ教育では、保育士の助言は必要最低限に留めることが大切です。

もちろん、子どもが本当に困っているときや大人の手助けを求めているときは、保育士による適切な援助が必要です。

ですが、タイミングをよく見計らって子どもが自分でできることを第一に考えた保育であることが、モンテッソーリ教育を行っていくうえで大事なことなのです。

手作りモンテッソーリ教具の選び方で大切なポイント

モンテッソーリ教具にはさまざまなものがありますので、どうやって日々の保育に取り入れていけばいいのか悩んでいる保育士も多いのではないでしょうか。

実は、モンテッソーリ教具は身近なもので簡単に手作りすることもできます。

手作り教具ではどのようなものを選べばいいのか、ポイントを押さえておきましょう。

子どもの年齢に合わせた教具を作る

モンテッソーリ教具の多くは指先を使うものなので、保育士は子どもの発達体の大きさに合った教具を作る必要があります。あまり複雑でなく、簡単に作れるものが良いでしょう。

また、子どもが今どの敏感期なのかをよく観察して作成することも大切です。

100円ショップなどで売られている材料でも、さまざまな教具が作ることができます。

感覚教育に活用できる教具の例として「雑音筒」が挙げられます。

複数の空カプセルの中に、ビーズ・お米・ビー玉・小石など音の違いが楽しめそうなものを入れると、音の違いを理解することができます。

子どもが自分で気づける教具を作る

モンテッソーリ教具は、使い方が間違っている場合自分で気付くことができるよう工夫されているものが多いです。

子どもの気付きは非常に重要ですので、自分で何度も試行錯誤して答えを導き出せるような教具を作成すると良いでしょう。

例えば、「ぽっとん落とし」は決まった形のもの以外落とせないため、遊びながら物の形に気付いていくことができますし、身近なもので作ることが可能です。

【年齢別】モンテッソーリ教育のおすすめ教具

保育園でモンテッソーリ教育を行う際におすすめの教具を、年齢別に紹介します。

0歳児におすすめモンテッソーリ教具

感覚の敏感期である0歳児の赤ちゃんには、五感を刺激するようなモンテッソーリ教具を選ぶと良いでしょう。

ベビージム

吊り下げタイプのおもちゃで有名な「ベビージム」は0歳児におすすめです。

赤ちゃんは生後2か月頃から動くものを目で追うようになるため、ベビージムは追視の練習にもなります。

また0歳児は、カラフルで鮮やかなものの方が認識しやすいため、赤・青・黄色などはっきりした色合いのベビージムが好ましいです。

ボールトラッカー

転がるボールの動きが楽しいおもちゃです。

ボールトラッカーは何度でも楽しめるため、遊びながら集中力が養われます。

まだ立つことのできない赤ちゃんはトラッカーの上部が見えづらいため、「上の方が見たい」という好奇心から、起き上がろうとしたり、つかまり立ちをするきっかけを作ってくれます。

1歳児におすすめモンテッソーリ教具

1歳になると、早くもモンテッソーリの指先を使った教具が使えるようになってきます。

ただし、発達段階の個人差が大きい年齢でもありますので、子どもの発達状態をよく観察して教具を取り入れましょう。

ハンマートイ

1歳の子どもは叩く遊びが大好きなので、ハンマーを手に持ってボールを押し込むタイプの「ハンマートイ」がおすすめです。

ハンマートイでは、握るための手の力やハンマーを振り下ろす腕力が鍛えられます。

「ボールを叩く」という行動によって「ボールが落ちる」という結果を楽しみながら学ぶことができます。

ルーピング

ルーピングはカラフルなワイヤーに木製のビーズが通されていて、指先を使って動かすことを楽しむおもちゃです。

手指の発達集中力空間認識力の向上につながります。

1歳から3歳頃までその年齢に合わせた遊び方ができるため、長く使える教具としてもおすすめです。

2歳児におすすめモンテッソーリ教具

レーシングビーズ

2歳頃になると1歳のときより複雑な指の運動ができるようになるため「レーシングビーズ」がおすすめです。

レーシングビーズとは、色々な形をしたカラフルなビーズを紐に通して遊ぶ、見た目にも楽しいおもちゃです。

ビーズを指で器用につまんで紐に通す動きは指先の運動に効果的ですし、コツを掴むまではなかなか難しいため、できたときの達成感を味わうことができます。

レーシングビーズは幅広い年齢の子どもが楽しめる教具ですが、低年齢のうちは大きめのビーズのものを選びましょう。

3歳以上におすすめモンテッソーリ教具

型はめパズル

3歳頃になると数字にも興味を持ち始めるようになりますので、数字を使った「型はめパズル」がおすすめです。

パズル感覚で数字を覚えることができますし、図形のパズルであれば形の認識力も高まります。

モンテッソーリ教具用の型はめパズルには、リングを通すための棒が設置されているものが多く、この棒に数字と同じ数のリングを通すことで数という概念を理解しやすくなるでしょう。

円柱さし

モンテッソーリ教具として有名な円柱さしは、子どもの観察力物の大きさを見分ける力を養います。

円柱さしの土台の穴にはひとつの円柱しか入らない仕組みとなっているため、形状の違いを確認しながらひとつずつ「この円柱はどの穴に入るのだろう?」と理論的に考えることができます。

必ず全ての円柱がピッタリと入るようにできているため、入れる円柱を間違えると最後にすべておさまりません。

そのため、間違いに自分自身で気付きやすく、間違った箇所を自分で見つけて次に活かす力が身につきます。

モンテッソーリ教具は年齢に合ったものを選んで子どもの自己教育力を伸ばそう

モンテッソーリ教具を選ぶ際には、子どもの年齢や発達に適したものを選ぶことが大切です。

保育士は見守ることを重点に置き、子どもが自分で考えることができるような環境を作ってあげるようにしてください。

モンテッソーリ教具を上手に活用して、子どもの自主性を育んでいきましょう。

記事公開日:2021.11.19

記事更新日:2021.11.19