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2019.12.02

【音楽保育の基本】子どもたちにとって音楽ってどんな存在!?

【音楽保育の基本】子どもたちにとって音楽ってどんな存在!?

音楽という概念はいつごろから始まったのでしょうか。海外と日本とで分けてみると次のようなことがわかりました。海外では紀元前4000年の頃に、西南アジアに住んでいたシュメール人によって作られたといわれています。

日本では、縄文時代に打製石器を使っての狩猟漁労が始まりました。
動物型や土偶の中には、明かに音を出すことを意識して作られたものが発掘されています。というように、国内外を問わず、音楽の発祥は紀元前であることがわかります。

橋本 橋本 圭介(はしもと けいすけ)

 学校法人三幸学園
 大宮こども専門学校専任講師
 小田原短期大学非常勤講師

今回は、音楽保育についての専門家である、三幸学園大宮こども専門学校教員、川瀬奈津美先生に監修して頂きます

 川瀬奈津美(かわせなつみ)

 三幸学園大宮こども専門学校教員
 尚美学園大学音楽表現学科で小和田佳苗に師事、卒業後現職

 

 

保育の現場に音楽が登場したのはいつごろか?

終戦から3年、1948年3月に『保育要領』が刊行されました。
『保育要領』の中では、「幼稚園、保育所や家庭での保育についても書いてあり、幼児期の発達に対応した総合的な保育の実際的内容が示されています。

その『保育要領』で、音楽は第6章「幼児の保育内容」の12項目中に「音楽」と「リズム」として設定されています。
「音楽」の目的は「幼児に音楽の喜びを味わわせ、心から楽しく歌うようにする、それによって音楽の美しさをわからせることが大切なのです。
音楽の美しさへの理解は子どもの表現力の芽ばえを養い、生活に潤いを持たせることができる」とされていました。

保育士が音楽を学ぶことの重要性

保育所保育指針及び解説より抜粋

音楽、リズムやそれに合わせた体の動きを楽しむ。

この時期の子どもは、心地よい音楽や楽しいリズムを耳にすると、その調子や自分の楽しい気持ちに合わせて、手や足で自分もリズムを取ろうとするようになる。
また、保育士等が音楽やリズムに合わせて歌いながら、手や足を伸ばしたり体を左右に揺らしたりすると、自分も一緒に歌ったり、動きを真似ようとしたりする。

年上の子どもたちが音楽やリズムに合わせて楽しそうに踊っている姿をじっと見ているうちに、思わず自分の体も動いているといったこともある。


音楽やリズムに合わせて体を動かすという経験を通して、子どもは、楽しい気持ちをこうした方法で表現することの喜びを味わう。
保育士等の身近な他者と一緒に楽しむ中で、同じリズムで体を動かしているうちに自ずと心が共鳴し、一体感を味わうことの喜びも感じるようになる。
高揚感や充実感、安心感や穏やかで優しい気持ちなど、音楽やリズムの多様性とともに、子どもの味わう感情も様々である。
気持ちがふさいだりしている時に、音楽によって気持ちが自然と切り替わり、また遊びへと気持ちが向かうきっかけになるようなこともある。
子どもが、自分の思いや体の動きと音楽やリズムのつながりを、心から楽しむ経験を重ねることが重要である。

保育における音楽の意義と役割

母親の胎内においてその鼓動を感じとり、リズムの中で心を安定させている。
音楽の重要な働きの一つに、人の心を動かすことを挙げると、子どもが胎内において生を受けるその瞬間から音楽の楽しみを感じています。

  • 胎教と音楽の関係性

まず、胎教とは何か?それは、お腹の中の赤ちゃんとおかあさんがコミュニケーションを取る作業です。
おかあさんがお腹に向かって話しかけたり音楽を聞かせたり、胎教の方法は様々です。
胎教音楽ではよくクラシック音楽がいいと言われますが、基本的にはママがリラックスできるような音楽であれば特にジャンルは問いません。

  • 乳児期の音楽の意義と役割

まず、音楽という文字を分解してみると「音が楽しい」「音を楽しむ」と読め、そこには楽しさが伴っています(実際の意味は「楽」=。同じ「ガク」でも文学、数学、化学、は「学」を使いますが、音楽は「楽」を使います。これは、器楽の楽で、楽器を用いて音を出すという意味があります。)。

乳児にとっての音楽の意義は音楽そのものよりも、いずれ使い始める「言葉」につながる音の聞き分けの時期であると感じています。
言葉は音の高低、大小で意味を表します。
日本語はラテン語系言語と比較するとあまり抑揚のないフラットな言語です。
その聞き分けの第一歩がこの時期の音楽の意義とその役割です。

  • 幼児期の音楽の意義と役割

幼児期になると音楽本来の意義が現れてきます。
幼児の生活の中で音楽の無い時間と場所がどのくらいあるでしょうか。
音楽を通じて人間のいろいろな感情を感じていく時期だと思います。
嬉しい曲、悲しい曲、寂しい曲(メジャー和音、マイナー和音)などを聴くとその気持ちが増幅し深い味わいが出てきます。
その場に合った音楽の選び方なども学んでいきます。自分の気持ちを音楽に乗せて表現する最初のステップです。

一方で、この時期の音楽の意義は少々注意が必要です。私は、自分の意志とは別に3歳でピアノの前に座っていました。
年齢が上がるにつれて難しくなり途中から神経症(チック症)に罹ってしまいました。
慌ててピアノをやめたところ徐々にチックも治まったと聞いています。
あまり練習もしないので上達もしませんでした。その当時の私にとってのピアノは音楽ではなく、「音が苦」だったのでしょう。

ピアノを使った音楽保育の基本スキル

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ピアノという楽器の正式名称を知っていますか?
正式には「ピアノ・フォルテ」や「フォルテ・ピアノ」といいます。さらに言えば、「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」(弱音も強音も出せるチェンバロ)というイタリア語です。「フォルテ(forte) はイタリア語で「強い」という意味があり、ピアノ(piano) はイタリア語で「弱い」という意味があります。
つまり弱い音から強い音まで幅広く表現することのできる楽器という意味でこの名前がつきました。

ピアノは鍵盤楽器に分類され、ピアノはイタリアのバルトロメオ・クリストフォリフランチェスコによって1709年に発明されました。
当時の鍵盤は54鍵でしたが、音域を広くとる音楽家が増えてきたこともあり、現在の88鍵になったと言われています。

さて、ピアノを使って保育について検証しましょう。
最近、ピアノが苦手な保育士が増えていると聞きます。他の楽器や時にCDで歌ったりしている園もあります。

ピアノは子どもたちの歌の伴奏だけではなく、ピアノがなったら静かにしましょう、集まりましょうという合図的な役割もあります。
では、ピアノを使った音楽保育について専門家の意見を聴いてみましょう。

<川瀬先生の考察>

私は幼稚園に通っていた頃、先生がピアノでキラキラと音を鳴らしいている姿に憧れと興味を持ち、ピアノを習い始めました。
このように、保育者がピアノで弾くことで「先生かっこいい、私もやってみたい。」と先生への憧れ、子どもたちの成長のきっかけを作ることができるのがピアノです。

保育者の弾く動きを見ながら、子どもたちは歌いだしやタイミング、リズムを掴み、保育者がどのような思いで演奏しているのかが子どもたちにも伝わり、そしてそこから生まれる先生・こどもたちの歓声・音、その場の一体感は、表現活動の喜びにもつながっていきます。

ピアノを使うことで興味関心をひきつけ、感性を養っていきます。
私たちが実際にコンサートやライブに行き感動し、楽しむことと同じように、生演奏は子どもたちにとっても影響を受けるものだと思います。

このようにピアノは、子どもたちにとっても大切な存在でありますが、保育者が音楽を学び感性を養っていく上でも大切な存在となっていきます。

ピアノ以外の楽器を使った音楽保育の基本スキル

ここでは、ピアノ以外の楽器を使った音楽保育について述べます。ここで楽器について整理しておきましょう。

さて、ピアノに代表される鍵盤楽器以外での保育はどのようなものあるでしょうか。

ピアノ以外の楽器の一つの特徴として、ソロよりも合奏でその良さが出てくるとは言えないでしょうか。
ピアノは同時に2つ以上10以下の音を出せる和音楽器です、それ以外の楽器は単旋律楽器です。

合奏は一人一人の役割と音を出すタイミングを合わせることが求められます。
それには、自分の演奏技術に加えて、他の楽器の音を聴く力が必要です。
また、同時に奏でる、ずらして奏でる、追っかけて奏でるといろいろな演奏法があり、
人と息を合わせたり、ずらしてみたり、重ねたりすることで学ぶことができます。
そこが保育のポイントです。楽器を通じてお互いの気持ちを重ねあうことの練習でもあります。

共に楽器を合奏する中でお互いに心を一つにし、同じ目的に向かって努力する、社会性を育てることにつながり、一人ひとりの個性を表現しながら、他者と協調することでより大きな感動を得ることができるのです。

今までの内容について、監修してださっている川瀬奈津美先生の意見を聴いてみましょう。

<川瀬先生の意見>

自分を表現することが苦手であった私にとって音楽は、自分自身を表現できるものでもあり、幼いころから一緒に成長をしてきましたものでありました。

子どもたちにとっても成長していく上で、音楽は重要な役割を果たしており、ただ楽しむだけではなく、あらゆる発達に繋がっています。
表現力、協調性、創造力、感受性など音楽を通して、「生きる力」を子どもたちが身に付けていくことでもあります。

そのため、保育者は子どもたちが自由に音楽を表現したり、楽しめるような環境を作っていくことが大切です。
もちろん音楽に関する技術や知識も大切ですが、何よりも保育者自身が子どもたちと共に音楽を味わい楽しむ姿を見せることが大切です。
子どもたちと音楽を通して、楽しい気持ち、悲しい気持ちなど感情を共にできた時、心から嬉しさや楽しさを感じ保育者としての幅も広がっていきます。

まとめ

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私は3歳からピアノの前に居たそうですが、それが苦痛で「音が苦」でした。
その後、サックスやトランペットを習いましたが、センスがなくどれもモノになりませんでした。
しかし、その音を聴き分ける力が英語に活きました。
ピアノを教わっているときに聴音は徹底的に訓練しました。それが音を聴き分ける耳を養ってくれたようです。
子どものころの音楽教育はその時は効果が出ないかもしれませんが、私のように別の形で表れてくることもあります。

私はアメリカの大学へ留学中、サックスを持っていきました。
言葉の通じない国の学生たちとも楽譜を見れば同じことができる、楽譜が読めれば国籍や文化を超えられると実感しました。

<参考文献等>

石川眞佐江,「幼稚園教育要領における音楽活動の位置付けの歴史的変遷」『静岡大学教育学部研究報告(教科教育学篇)第44号(2013.3)97~110』

音の期限
https://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~masako/exp/oto/index2/kigen2.html

胎教はいつから? 方法とメリット、音楽や絵本は本当に効果的なの?
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1807

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記事公開日:2019.12.02

記事更新日:2023.03.22