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2019.05.29

毎日の保育に取り入れたい!子どもの心と体を育てる「運動遊び」

毎日の保育に取り入れたい!子どもの心と体を育てる「運動遊び」

ベネッセ教育総合研究所が行った「調査データクリップ!子どもと教育」によると、昔の子どもたちに比べ、現代の子どもたちは基礎体力が低下傾向にあることが分かります。
これは、幼児期に運動能力の基礎を培われなかったことが要因の1つとして考えられます。

保育園でも積極的に「運動遊び」を取り入れ、子どもの年齢にあわせた心と体の発達をサポートしたいですね。
今回は保育の現場ですぐに取り入れられる運動遊びをご紹介します。

(参考)調査データクリップ!子どもと教育|ベネッセ教育総合研究所 

 

 

運動遊びってどんな遊び?

「運動遊び」とは、どのようなものを指すのでしょうか?

子どもの発達に合わせ、楽しく遊べる

運動遊びは、子どもたちの心身の発達をサポートするために行う保育の1つです。
保育園では体を使って楽しみながら、基礎体力の向上やコミュニケーション力などを育むことを目的としています。

また、幼児期の子どもたちは、同じ年齢でもできることや体力に差があります。
保育士はハンデを上手に活用したり、ルールに一工夫を加えたりして、運動量に偏りが出ないように配慮しながら運動遊びを行うようにしましょう。

 

年齢別!おすすめの運動遊び

運動遊びが子どもの成長によい影響を与えるためには、保育する子どもの年齢発達状況に合わせて行うことが大切です。

1歳児の運動遊び

体を動かす楽しみを知り始める1歳児には、柔らかいボールをコロコロ転がす「キャッチボール」や、保育士が足を開いて立ち、両足のあいだをくぐらせるなどの運動遊びがおすすめです。
好奇心旺盛な時期ですので、ほかのものに視線が向いたら次はそれを使って遊ぶなどして、柔軟に対応しましょう。

2歳児の運動遊び

運動量が増えてくる2歳児の遊びには、追いかけっこや転がしたボールを走って取りに行くなどの「走る」要素を取り入れましょう。
保育園の園庭いっぱいを駆け回るだけでも、2歳児なら十分に運動あそびを楽しむことができます。
園庭にある簡単な遊具にも、少しずつトライさせてみましょう。

3歳児の運動遊び

3歳くらいの子どもは徐々にコミュニケーションがとれるようになるので、「だるまさんが転んだ」や「けんけんぱ」などの簡単なルールのあるゲームを取り入れるのもおすすめです。
また体力もついてくるため、縄とびや鉄棒などを使った運動遊びも楽しめます。

4歳児以上の運動遊び

4歳以降は「フルーツバスケット」など、よりゲーム性のある運動遊びが楽しめます。
勝ち負けの意識が芽生える時期でもありますので、勝つためにはどうすればいいかを子どもと一緒に考える取り組みも必要です。
チーム対抗戦なら、子ども同士のコミュニケーションを育むきっかけにもなるでしょう。

保育士

 

普段の遊びも立派な「運動遊び」

普段子どもたちが何気なく行っている遊びも、実は立派な運動遊びの1つ。
さらにちょっとしたアイディアで、もっと子どもの成長につながる遊びに早変わりします。

ジャングルジムなど、つい大人は“危ないから・・・”と敬遠しがちですが、登る・降りる身体の動き、どうしたら落ちないようにするかを子ども自身が考えることも立派な「運動遊び」です。
もちろん大きな怪我に注意しながらですが、“見守る”保育も大事にしていきましょう。

鬼ごっこも一工夫でさらに面白く!

普段から子どもたちが遊んでいる鬼ごっこ。
脚力や俊敏さを鍛えるのはもちろん、とっさの判断力を育むトレーニングにもなる、絶好の運動遊びです。
「鬼が追いかけて誰かを捕まえる」という子どもにもわかりやすいシンプルさもいいですね。

はじめは、混乱がないよう、保育士が鬼になるとわかりやすいですよ。

鬼ごっこはアレンジも豊富です。
鬼が指定した色に触れないと捕まる「色鬼」は、鬼も逃げる子どもも「どの色なら捕まえやすいか」や「周囲にどんな色があるか」などの注意力や判断力などの要素もプラスされます。また、「手つなぎ鬼」もおすすめ。2~3人の鬼からスタートして、鬼に捕まった子どもは鬼と手をつなぎ、ほかの子を一緒に追いかけます。最後に残った子どもが勝ちというルールです。

(参考)色鬼のルール|ミックスじゅーちゅ そとあそ
(参考)手つなぎ鬼のルール|ミックスじゅーちゅ そとあそ

ドッジボールでリズミカルな動きを育てる

2チームに分かれ、エリア内で相手チームにボール投げて当てあう「ドッジボール」は、子どもの発達に役立つ多くの要素が含まれています。
ボールを投げる力や上手にボールをかわすための瞬発力、ボールを目で追う動体視力など、総合的な力を育てるのにもってこいの運動遊びといえます。
子どもたちが慣れてきたら、ボールを増やしたり、ボールをフリスビーに変えてみたりするのもおすすめです。

健康な心身をつくるために不可欠のサポート

脚力や瞬発力など体力面での発達だけでなく、判断力や注意力などの心理的な発達も促すことができる運動遊びは、保育の現場でも積極的に取り入れたいものです。
子どもの発達状況に合わせて上手に保育に活用していきましょう。

 

カリキュラムの一環としての「運動遊び」

近年、カリキュラムの一環として、体育講師を招き「運動遊び」に力をいれる幼稚園・保育園も増えてきています。
日々の保育の中でする運動遊びよりも、乳児・幼児期の身体を熟知している専門の講師が行うため、鉄棒ひとつとっても、段階を踏んだ、より子どもにわかりやすい方法を教えてもらえます。また、ただ楽しいだけではなく、チームで力を合わせる大切さ、出来なくて悔し涙を流す経験、あきらめない心なども多く体験することが出来、子どもの心身の発達にとって、運動あそびはとても意味があるものとなっています。

また、保育士自身も、講師による「運動遊び」から普段の保育に生かせる導入の仕方や声かけなど、学べる面も沢山あります。
とにかく子ども目線に立って、子どもにわかりやすい端的でかつ擬人法を使うなどのわかりやすい説明、そして説明している間に子どもが“早くやってみたい”と思うことが重要です。3つ例を挙げてみましょう。

1.鉄棒

大人にとってみれば、簡単な前まわりですが、身体が宙に浮いた状態で前にまわるという行為は、子どもにとって怖いと感じる子も多くいます。
まず鉄棒に登ることをクリアした子どもたちに「小鳥さんに変身!」と声をかけます。そして保育士がその子どもの前に手に餌(ご飯)を持ったつもりの格好で立ち、「このご飯をチョンと食べてごらん。」と声をかけます。
すると小鳥に変身している子ども達はその餌を食べようと前のめりになり、前に身体を傾けることに抵抗がなくなり、前にまわるという行為の第一歩になるのです。

2.跳び箱

跳び箱・・・頭の中ではできているのに、いざやってみると子どもたちにとってはなかなか難しいもの。
そんな子どもたちには、“音”で教えてあげるのも1つです。
ドン(踏み切り台を両足で強く踏む)・バン(跳び箱に手をつく)・ボン(着地をする)と音に例え、子どもが呪文のように、「ドン・バン・ボン!」と言うことでリズムカルにとぶことができます。

3.リレー

年中・年長になると、運動会でリレーをする幼稚園・保育園も多いでしょう。
なかなか速く走れない子に対しては、左右の足を電車の競争と見立て、左足は右足に負けないように・右足は左足に負けないように・・・と声をかけると、楽しみながら、かつイメージを持って走ることができます。また、バトンパスは、はじめからバトンを見せて導入するのではなく、人形をバトンに見立て、「お人形さんがおなかが痛くなっちゃったんだって。
早く病院に連れていかなきゃ。でも、落としたら痛いでしょ?だから落とさないで、でも早く病院に連れて行ってあげようね!力を合わせよう!!」と声をかけます。
するとバトンパスの大切さを知ることができます。

 

障害を持った子に対してのフォロー

障がいを持った子に対しての「運動遊び」は難しい課題です。
その子を見ようとすると全体が見えなくなってしまうことも考えられます。
障がいを持った子自身も、強制的にやらされることで苦しさを感じているかもしれません。そんなときは担任一人で抱え込もうとせず、補助の保育士に勇気を出して助けを求めましょう。
時と場合によっては、補助の保育士とその子どもで、隅のほうで見学するのだってよいと思います。

障がいを持った子に対するフォローは園全体で考えていきましょう。

 

幼稚園・保育園での「運動遊び」について色々お話しましたが、根底にあるのは“楽しむ”こと。
決して「運動遊び」を強制にしたり、怖がらせる体験を増やすのではなく、身体を動かすことが好きになるきっかけとすることをねらいとしていきましょう。
“好き”から、“できる”ことを沢山伸ばしていってあげるといいですね!!

 

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記事公開日:2019.05.29

記事更新日:2021.07.08