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2019.05.22

どんなことを書けばいい?保育の指導計画の上手な立て方

どんなことを書けばいい?保育の指導計画の上手な立て方

乳幼児期は、その後の子どもの発達の基礎となる時期です。
この大切な時期に子どもにかかわる保育士は、子どもの発達に見合った保育をすることで、子どもの成長をサポートする重要な役割を担います。
そのためには漠然と日々の保育をするのではなく、しっかりとした「指導計画」をもとに、保育にあたる必要があります

とはいっても、特に新人の保育士にとっては、指導計画を立てるのが悩みの種になっていることも多いのでは?
今回は、保育の指導計画の立て方のアドバイスをお伝えしていきます。

 

 

指導計画の基礎をおさらい

どの保育園でも求められる「指導計画」とは、そもそもどんなものを指すのでしょうか。

指導計画はねらいと内容で構成

一般的に指導計画は、「ねらい」と「内容」で構成します。
ねらいとは「なんのために行うのか」という保育の目的を記すものです。
ねらいと内容をセットにすることで、より具体的な保育活動を行うことができます。

▼ねらい
「保育者と一緒に体を動かしたり、園庭で遊んだりして、遊びを通じた体の発達を促す」
「水に触れる遊びで、夏ならではの季節感を味わう」

▼内容
「リズム遊びや園庭で遊ぶ時間を多く取り入れ、体を使って遊ぶ楽しみに触れる」
「プール遊びや水かけごっこなどで、夏の遊びを体感する」

指導計画にはどんなものがある?

指導計画は、年単位や月単位の「長期的な計画」と、週単位や日単位の「短期的な計画」があります。
まずは1年間の保育の方針となる「年間計画」を立て、それを実現するために「月案」をつくり、その月案を実現するために「週案」を作る、というように一貫させて作成する必要があります。

1年間の活動のもとになる「年間計画」

年間計画は、次の年度までに子どもたちに「こんな風になっていてほしい」という姿を実現するための大切な軸です。
保育園によって年間計画のフォーマットは異なりますが、行事や季節などのタイミングに合わせた保育のねらいと内容を決めていきます。
あらかじめ保育園の年間行事を頭に入れておき、整理していきましょう。

年間計画に基づいて作成する「月案」

月案は、毎月の指導内容を計画するもので、年間計画に沿って考えていきます
前月の子どもたちの様子がどうだったかを振り返りながら、作成しましょう。

また、保育園の行事や季節などに関連させて指導計画を立てるのがおすすめです。
たとえば、4月には「新しいクラスの環境になじみ、新しい友達と楽しみを共有する」、10月には「作物の収穫などによって、生命のたくましさと豊かな実りへの感謝の気持ちを育む」といったように、保育の中での行事や季節の特色を考えていくと思わぬヒントがあるかもしれません。

月案に基づいて作成する「週案」

週案は1週間ごとに区切って、どのような保育をしていくか計画するものです。
1週間単位になると、天気の予測もつきやすく、より具体的な指導計画を作成することができます。
たとえば1週間のうち雨予報が多ければ、室内保育をメインにした指導計画を立てておくほうが、計画通りに進めやすくなります。

1日の流れを細かく計画する「日案」

日案は、より具体的に「今日は何をして過ごすのか」を計画するもの。
時間で区切り、指導計画を作成します。前日の子どもたちの様子を踏まえて、どのような保育をすればより充実した1日になるかを考えましょう。
あまり詰め込みすぎても無理がありますし、逆に大まかすぎてもダラダラした保育になりがちですので、適切な時間管理が必要になります。

指導計画を作成する際の注意点とは?

指導計画は保育園ごとに既定のフォーマットがありますので、基本的にはそれに沿って作成していきます。

保育士目線?子ども目線?

指導計画を作る際に気をつけたいのが「どちらの目線で書くのか」ということ。
たとえば、保育士目線なら「排泄を促す声かけとともに、トイレでの排泄が楽しくなるような雰囲気をつくる」ですが、子ども目線なら「トイレで排泄することの楽しさを感じる」というように、同じ内容でも書き方は大きく変わります。

保育園ごとに方針が決まっていることも多いので、新人の保育士は先輩に聞いたり、他の保育士が書いたものを参考にするなどして、事前に確認しておきましょう。

指導計画通りにならなくても慌てないように

子どもたちを相手にする以上、保育が計画通りには進まないこともたくさんあります。
無理やりにでも指導計画通りに進めようとすると、子どもたちに負担がかかってしまいますし、かえって充実した保育ができない結果になりかねません。
毎日の保育のなかで調整していくのはもちろんですが、指導計画を作成する段階でも、ある程度は柔軟に対応できる余裕を持たせておくことが肝心です。

園児

日案の重要性

指導計画の中には、月案・週案などがあるとお話しましたが、日案は書き方がさまざまです。
特に提出義務はなく、個人によって任されている保育園も多いと聞きます。しかし、日々保育するにあたっては、日案が非常に重要になってきます。

最近では、体育や英語などといった講師の先生を招いてカリキュラムを組んでいる保育園も増えています。
あくまでも自分の中でではありますが、それぞれの活動の“時間に遅れない”ようにするために時系列を指導計画(日案)に記し、覚えるまでしなくても、すぐ予定を確認できるようにしておくとよいでしょう。

また、保育経験が多くなってくると、子どもたちの前に出た際に、指導計画がなくてもスラスラと言葉が出てきますが、新人保育士は急に言葉につまってしまうこともあります。
それぞれの活動の導入の言葉や、制作の説明などを自分なりの言葉でまとめて日案として指導計画に書いておくとよいでしょう。
また、指導計画を“書くこと”によってただ頭で考えるよりも、覚えられるようになります。

日誌について

上記に記した日案をそのままにするのではなく、毎日反省の資料としていきましょう。
園によっては日々の記録として“日誌”を書くところもあるかもしれません。
この日誌には、日案を元にその日のエピソードや反省を書きましょう
後で振り返ってみて、クスっと笑えたり、子どもの成長を感じられたり、自分の為になるものとできればよいですね。
その中で、保育士自身の反省を書けば、確実に次に生かされるものとなります。

また、日誌とは別に、子ども個人の成長を示す、“個人記録”も毎日つけるとよいでしょう。
学年末に提出する、“指導要録”を書く際の参考にもなります。毎日は大変、という人は、週ごと、月ごとでもよいので、まとめておくとよいですよ。

充実した保育を行うために

忙しい保育士にとって、指導計画の作成は頭が痛いという人も多いでしょう。
指導計画づくりに悩んだら、先輩保育士や主任保育士にアドバイスをもらうほか、保育関連の本や雑誌から指導計画のヒントを探すのもおすすめです。
子どもがどうしたら「楽しく充実して成長していけるか」を頭に入れて作成してみましょう。

(参考)厚生労働省 保育所保育指針
(参考)厚生労働省 保育所保育指針解説書

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記事公開日:2019.05.22

記事更新日:2021.08.02