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2019.04.22

強い日差しから子どもたちを守りたい!保育園で必要な熱中症対策とは?

強い日差しから子どもたちを守りたい!保育園で必要な熱中症対策とは?

保育園でもっとも避けたいリスクの1つに、子どもの「熱中症」が挙げられます。
夏場、気温と湿度が高くなる環境の中、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節がうまく働かなくなることで引き起こされる熱中症。
子どもがかかると重症化しやすく、命の危険も伴うものとなるため対策は必須です。

今回は、暑くなる季節に気をつけたい、保育園でできる熱中症対策をお伝えします!

 

 

熱中症のこと、どれくらい知っていますか?

子どもは大人に比べて熱中症になりやすい傾向にあります。それはなぜなのでしょうか。

子どもが熱中症になりやすいのはどうして?

子どもが熱中症にかかりやすい理由の1つとして、子どもは体温調節機能が未発達で、汗をかきづらいことが挙げられます。
つまり、熱をうまく体の外に出すことができず、体内に熱がこもりやすいので、体温が急激に上がりやすいのです。
特にまだ会話のできない小さな子どもの場合、「暑い」という状態を伝えることが難しく、自分で服を脱いで調整したり、水を飲んだりすることもできないため、熱中症のリスクが高いといえます。

また、子どもは大人より背が低いため、地面からの照り返しを受けやすい特徴があります。
外遊びに夢中になりすぎて自分の体調の変化に気づきづらいこともあるため、保育士が常に子どもの様子を観察する必要があります。

実は室内も子どもにとっては危険!?

では、室外よりも室外のほうがいいのでしょうか?

実は、室内も子どもにとっては熱中症のリスクが高いといえます。
実際、2005年に埼玉県内の認可保育園で起きた熱中症による死亡事故は、園児がかくれんぼ遊びをしている最中にクーラーの行き届かない廊下の本棚に潜り込んでしまったことが原因とされています。

保育室はクーラーで一定の温度に保たれていますが、廊下などにはクーラーが設置されていないことがほとんど。
まして、本棚などの狭い空間は熱がこもりやすい上に保育士の目が届きにくいため、気がついたときには手遅れということになりかねないのです。

子どもの熱中症を防ぐ5つのポイント

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子どもたちを熱中症にさせないためのポイントをご紹介します。

熱中症対策①子どもの異変に敏感になる

保育士は子どもの様子をきちんと観察する必要があります。特に、顔が赤い、ひどく汗をかいているなどの時は、すみやかに涼しい場所に移動させましょう。

応急処置をほどこした後は、子どもの様子によって、園長に相談し病院に連れて行くなり、保護者に連絡をするなり、早急に対応していきましょう。
症状が回復しても、容態が急変することもあるので、念のため病院へいくことをお勧めします。

また、乳児だけではなく、言葉でのコミュニケーションができる幼児でも遊びに夢中になって衣服の調整を忘れていたり、家から着てきた服を脱いでもよいものか先生に言えず考えてしまう子もいるので、こまめに声をかけてあげましょう

熱中症対策②水分補給はこまめに

園庭で遊んでいるときは、水分補給の時間を決めましょう。たとえ子ども自身は喉が乾いていないと言ったとしても、必ず水分補給を促すようにします。

ただ単に水分補給を促しても、遊びを中断するわけですから応じない子どももいるかもしれません。
そういった場合は、あらかじめ子どもたちに熱中症・水分補給の大切さを話す際、「これは魔法のお水(お茶)だよ。飲むと元気になるんだよ。」と伝え、飲みたい気持ちにさせてあげるのもよいですね。

また、子どもたちが各自で水筒を持参していると思いますが、子どもがどれだけの量飲んだかというのは正確に把握できません。
子どもの持ってきているコップをおぼんに乗せ、そこに飲んでほしい量を入れ、担任はまるでレストランのウェイトレスのように、「魔法のお水タイムだよ。」と子どもを集め、水分補給をしっかりさせる方法もあります。
ただ、家に帰って、保護者の方が「あれ?水筒のお茶が減ってないわ。」と心配しないよう、連絡帳などに、水筒のお茶の水分補給とは別途水分補給の時間をきちんととっていることを伝えましょう。

また、散歩などの園外活動の際は、事前に保護者にお知らせした上で水筒を持ってきてもらうよう協力を仰ぎましょう

熱中症対策③日頃から暑さに慣れさせよう

子どもがクーラーのきいた室内にこもりがちで汗をかく習慣がないと、かえって熱中症にかかりやすくなります。
まだ暑さが厳しくならないうちから、外に出る習慣をつけ、ある程度は暑さに慣れさせることも必要です。

熱中症対策④危険な日を察知し準備をしておく

環境省が定めた、気温と湿度、日光の量を基に熱中症リスクを計算した暑さ指数(WBGT)がありますが、それが31℃を超えるときは、たとえ室内でも熱中症のリスクがグッと高くなるといえます。
スポーツドリンクを常備する、冷却グッズを用意しておくなど、万が一に備えて準備をしておくといいでしょう

また、午前中よりも午後の方が日が昇って暑くなるので、午前中に思いっきり外あそびや散歩を設定し、午後は室内でゆっくり、そして楽しく遊べるプログラムを考えておくのも、熱中症対策としてよいかもしれません。

園としてはミストを設置したり、部屋の前にすだれをかけることも一つの熱中症対策です。

(参考)熱中症予防情報サイト|環境省

熱中症対策⑤建物の中にある暑さの死角をチェックしておく

室内での熱中症を予防するには、クーラーの行き届かないいわば暑さの死角をチェックし、そこに子どもたちを近づけないよう注意します
また、あまりに暑すぎて室内遊びで過ごすことにした際、かくれんぼ遊びなどの、保育士の目の行き届かない遊びになりそうな場面では、他の遊びに誘導するなどの配慮が必要です。

(参考)外だけじゃない!子どもを「室内熱中症」から守る対策まとめ|ウーリス
(参考)かくれんぼの落とし穴|家庭保育室チャイルドナッツ
(参考)子ども(保護者)への声かけ |熱中症予防声かけプロジェクト

子どもたちを熱中症にさせないために

保育園の熱中症対策

 

子どもたちを熱中症にさせないためには、保育士1人ひとりの危機管理が重要です。
もちろん保育士が子どもから片時も目を離さないことが第一ですが、万が一を想定して、水分補給を習慣化したり、普段から遊んではいけない場所をよく言って聞かせたりなどの対策も積極的に実践していきましょう!

※また、近年では、放射能の問題や各ご家庭の食事の方針で、いくら園の水が浄水してあったとしても飲ませたくない家庭も増えてきています。
そういった場合、持参したお茶がなくなってしまった際にどう対応するか(清涼飲料水なら飲ませてもよいか・そういった場合はやむを得ず保育園や幼稚園の浄水をのませてよいか、など)など、きちんと保護者と話し合い、連携をとっておくことも、後のトラブルにならないためには大切なことです。

 

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記事公開日:2019.04.22

記事更新日:2021.07.16