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2019.02.27

子どもの発達障害との向き合い方

保育園や幼稚園で「落ち着きがないな」「お友達とうまく遊べていないな」と思う子どもがいたとき、「発達障害」というキーワードが思い浮かぶかもしれません。

近年ではよく耳にする言葉ですが、発達障害について正しく理解できている人はそう多くないでしょう。
今回は、保育士や幼稚園教諭など子どもにかかわる職業に就いている人には知っておいてほしい「発達障害を持つ子どもとのかかわり方」についてご紹介します。

発達障害とは?

まずは発達障害について、正しい知識を学びましょう。

その子が生まれ持った特性

発達障害は、脳機能の発達過程で起こる障害とされ、生まれ持っての特性であって病気ではありません
また一括りに発達障害といってもさまざまな種類があり、症状もそれぞれ異なります。

発達障害は世間的に認知されつつありますが、まだ周囲の人が正しく理解しているとは到底言えない状況で、「あの子は変わっている」「問題児」といった的外れな評価をされて、周囲から浮いてしまうこともあります。

(参考)発達障害って、何だろう?|政府広報オンライン

発達障害ってどんなものがあるの?

発達障害の種類には、どんなものがあるのでしょうか。

学習障害(LD)

知的発達には問題がないはずの子どもに、「正確に聞く」「読めない」「書けない」「計算ができない」などの傾向が顕著に見られた場合、学習障害が考えられます。
しかし、幼稚園では、こうした「学習」をメインには行っていないため、保育士や幼稚園教諭が学習障害に気づけるタイミングはあまりないかもしれません。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

席にじっと座っていられなかったり、集中力がほかの子どもと比べて極端に短かったりと、保育園や幼稚園に通う年齢の子どもにしては「ちょっと落ち着きがない子」としてとらえられることが多くあります。
思い立ったら行動に移したくなるのも特徴の一つで、教室で制作物を作っていても急に園庭に走り出してしまうといったこともあります。

広汎性発達障害(自閉症・アスペルガーなど)

広汎性発達障害とは、自閉症やアスペルガーなどに代表される他者とのコミュニケーションが極端に難しい症状の総称です。
コミュニケーションが苦手なことから、子ども同士でなじめなかったり、強いこだわりから癇癪(かんしゃく)を起したりすることもあります。
比較的早い段階で診断がつくことが多いため、一般の幼稚園や保育園に通うよりも、療育施設に通う子どももたくさんいます。

(参考)みんなのメンタルヘルス 発達障害 | 厚生労働省

保育士や幼稚園教諭ができることは?

発達障害を持つ子どもやその保護者に対して、保育士や幼稚園教諭としてどのように接すればいいのでしょうか。

保護者に「あの子は発達障害だ」と伝えるのはNG

保育園や幼稚園で子どもの様子を見守る中で、「発達障害かも?」と思う場面があるかもしれません。
その場合、保護者が発達障害であることを理解していればいいのですが、理解していない(理解したくない)というケースも考えられます。

発達障害はなるべく早い段階で気付き、適切なサポートを行うことが良いといわれています。
だからと言って、保護者に相談されたとしても「発達障害ですね」と断定的に伝えてしまうのは避けましょう。
子どもが発達障害だと認めるには、保護者にも相当な覚悟が必要です。
また保育士や幼稚園教諭は「幼児教育」の専門家であって、発達障害の専門家ではありません。
この場合は自治体が運営する「発達障害者支援センター」など、専門家への相談を促すようにしましょう

優しい口調で繰り返し諭す

発達障害を持つ子どもに対して「何度も言っているでしょう!」と怒鳴っても、できないものはできません。
逆に保育園や幼稚園を怖い・嫌なところと認識してしまうことや、ほかの子どもたちが恐怖心を持ったり、発達障害を持つ子どもをのけ者にしてしまったりする原因にもなります。

優しい口調で根気よく何度も繰り返し話をすることで、徐々にできるようになることもありますし、ほかの子どもたちも受け入れやすくなります。
発達障害の子どもには決して感情的に接することなく、冷静に向き合いましょう

クラス運営について

保育士・幼稚園教諭は、発達障害の子どもを丁寧に見たい気持ちは山々ですが、決してその子だけがクラスの子どもではありません。
障害の種類にもよりますが、一斉活動で座っていることが難しかったり、制作を一人ですることが難しかったり・・・と様々です。

担任としてクラスをまとめなくてはいけないという責任ももちろんあると思いますが、一人で抱え込んでどうにかしようと思っても限界があります。
発達障害の子のためにも、クラスの子のためにも、「大変。」「助けてほしい。」と他の教師に声をあげることはとても重要です。
担任を持たないフリーの教師が補助に入ってくれるでしょう。

また、年齢があがってくるにつれて、周りの子どもたちも「あの子は何だか自分と違う。」ということに気がついてくることが多くなっていきます。
子どもに発達障害について伝えることはとても難しいことですが、「ちょっとゆっくり大きくなっていくんだよ。」、「皆にも、得意なこと・苦手なことがあるでしょ?~ちゃんは、これが少し苦手なだけだよ。」などと伝えると、漠然とではありますが納得し、大人が何も言わなくても自然に発達障害の子にサポートの手を差し伸べる子も出てきます。

クラスに発達障害の子がいることで、子どもたち・クラス全体が成長していけることも多々あります
子どもたちは、小さい身体と頭で色々考えているのです。
そしてもちろん、そんな子どもたちに触れながら、教師も色々なことを感じ・考え、共に成長していけるといいですね。

保護者との面談の具体例

上記にも述べているように、保護者に発達障害についての話を持ちかけるのは難しい問題ですよね。
ここでは二つの例に分け、保護者との面談の持ち方についてお話します。

①保護者が、自分の子どもを発達障害だと疑っている、あるいはすでに専門機関に通っている場合

「うちの子、クラスについていけていますか?何か発達障害があるのでしょうか?」と聞かれても、まずは断定的には答えません。
まずはクラスの中での子どもの様子をありのままに伝え、すべてが発達障害に結びつけるのではなく、子どもの長所(得意なこと)、短所(苦手なこと)として伝えてみてください
保護者の方は、ただでさえ不安でたまらないと思うので、まずは家庭で困っていることを沢山聞いてあげ、家庭・園で共通のルールや声かけを考え、一つひとつ困っていることをクリアしていくことを目指します。

また、中には集団生活の中でよりも、個別に専門機関に通ってみることで伸びる子もいます。
保育園・幼稚園によっては、臨床心理士を定期的に呼んで、子どもを見たり、発達検査をしたり、親の子育て相談をしたりするところも増えてきていますので、その方を紹介するのも良いと思います。
不安でいっぱいの保護者は、「話だけなら是非お願いしたい。」という人も多くいます。

すでに専門機関に通っている子どもについては、専門機関での子どもの様子をお聞きし、保育園・幼稚園でできるようになったことも細かに報告し、子どもが確実に少しずつでもステップアップしていることを共に喜び合いましょう。

年長になると、就学へ向けての不安もでてきます。子ども自身が苦しくならない環境を選び、進学できるよう、相談に乗ってあげてください。

②保護者が、自分の子どもを発達障害と認めない場合

実際、こういった保護者がとても多いのが現状です。
家庭では少人数の中で過ごしているため、困ったことがあまりないというのです。
また、薄々は気がついていても、自分の子どもが発達障害というのを認めたくないのです。そういった方には、無理に“障害”と断定してしまうことで一気に心を閉ざしてしまいますので、注意しましょう。
家庭で困ったことがなくても、発達障害の子は、集団が苦手な子が非常に多いのです。保育園・幼稚園での様子を伝えつつ、その子の課題を伝えていってあげてください

実際に保育園・幼稚園の行事で、自分の子どもが集団に馴染めていない、遅れをとっているのを目の当たりにして、保育士の言っていたことを受け入れ、発達障害の子どもに向き合う保護者もいらっしゃいます。

認めたくない気持ちも痛いほど理解できること、その中で子どもにとって一番過ごしやすい方法を一緒に考えていけるとよいですね。

保育士・幼稚園教諭の中には、保育するのが難しいと感じる子をすぐに“発達障害”と決め付けたがる人もいますが、幼いだけで、年齢・成長によって変化していく子どももいますので、年齢の早い段階から、発達障害だと決め付けるのはやめましょう。

まとめ

未就学児の注意欠陥多動性障害は、単に落ち着きがないだけとして保護者も認めない(認めたくない)ことが多々あります。
また、学習障害に関しては、未就学児のうちは保護者でも気が付きにくいものです。

そんなとき、保育士や幼稚園教諭が発達障害について正しい知識を持っていれば、その子にとって適切な接し方を見極められるはずです。
デリケートな問題ですので一人だけで判断せず、経験のある上司や先輩に相談しながら、保育士や幼稚園教諭の立場で子どものためにできることを探していきましょう

記事公開日:2019.02.27

記事更新日:2019.02.26