2019.01.17
あなたの園は大丈夫?保育士の配置基準について解説!
保育園に入れない待機児童問題はニュースなどでも大きく取り上げられています。
この待機児童問題の原因のひとつに保育士不足が叫ばれています。
保育士の処遇改善だけではなく、実際の現場では、園児に対する保育士人数が法律で定められています。
これらの基準を満たしていない園はどのような対応を求められるのでしょうか。
【配置基準の基本】子どもひとりに必要な保育士は何人?
保育所での保育士配置基準は国が以下のように定めています。
- 0歳児…3人に対し保育士1人
- 1,2歳児 6人に対し保育士1人
- 3歳児…20人に対し保育士1人
- 4歳児以上…30人に対し保育士1人
※ただし、保育士資格を有するものは最低2人以上配置することが前提となっています。
この保育士配置基準を基準としながら、各保育事業ごとによって配置基準が異なってきます。
小規模保育事業の配置基準
・A型(保育所分園、ミニ保育所に近い類型)…保育所基準+1人
・C型(家庭的保育、グループ型小規模保育)…0歳児3:1(補助者を置く場合5:2)
・B型(中間型)…保育所の配置基準+1人
となっています。さらに昨今増加している家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業、子ども・子育て支援新制度による事業所内保育事業や企業主導型保育事業、認可外保育施設においても詳しく基準が定められています。
さらに家庭的保育事業においては、0~2歳児…3人に対し保育士1人という基本基準があり、家庭的保育補助者を置く場合には園児5人に対し2人の職員を配置するようになっています。
また居宅訪問型保育事業においては0~2歳児1人に対し保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認めるものとなっており、それぞれの施設において細かな人員配置が設定されているのです。
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000159996.pdf
また、国の定めた配置基準に対し、地方自治体がこの配置基準を上回る基準を定めることは可能であるとされていることから、独自基準を設けている地方自治体もあります。
東京都世田谷区では、1歳~2歳までの子ども5人に対し保育士1人という厳しい配置基準を設けています。横浜市では1歳児4人に対して保育士1人が義務付けられているのです。こうした厳しい独自基準を設けることで保育の質の向上を目指しているのです。
さらに企業主導型保育事業の運営・配置基準については国の配置基準に加え、最低2人の保育士を配置することを義務付けられています。
こうした細かな保育士の配置基準を満たすためには、細かなシフト計算も必要となってきます。最低基準保育士数を満たすことを重要とされているため、クラスごとの保育士の人数が不足していた場合には、保育園全体での人数確保ができていることが大切です。例えば当日やむを得ず担当保育士が欠勤してしまった場合などは、フリー保育や短時間で勤務している保育士が、代行することで配置基準を補うことができます。
また、当日出席している子どもの数を小数点第一位を四捨五入する方法をとることで、カバーすることが可能となるのです。
こうした配置基準が満たされていなかった場合、認可保育園では監査が入り指導を受けることになります。指導を受けても改善されない場合には認可取り消しとなり、行政からの運営補助金を受けることが出来なくなります。
また認可外保育園についても、配置基準が設けられ、平成28年6月からは著しく保育従事者数が少ないものや有資格者が少ないと判断された場合には、行政からの立ち入り調査改善勧告が行われることになりました。
参考:https://www.kinet.or.jp/hoiku/data01/0516shishin.html
ベテラン保育士さんは要注意!配置基準が緩和されて何が変わった?
保育士不足が背景にある中で、現場で配置基準を順守することが難しいという現実もあります。そこで、国は待機児童対策のとして保育士の配置基準を緩和することとなりました。
① 朝夕の時間帯における保育士配置基準の緩和
② 幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭の普通免許有資格者を保育士としてみなし、配置することが可能となります。
③ 8時間を超えて開所する保育所において、年齢別の配置基準による必要保育士数が少なくなる朝夕などの時間帯に限り、保育士2人のうち1人を指定研修終了者で代替可能となります。
そのため研修を受けていれば、調理員や事務員であっても保育をすることができるようになるというものです。
④ ②③の場合であっても、保育士資格者は総数の2/3以上であること
児童数の少なくなる朝や夕方などは、繁忙である保育士が別の業務に従事することができるなど、保育士の負担軽減を目的とした緩和策となっています。
しかし、配置基準を少なくすることや、有資格者以外の人が保育に携わることで、現場の保育士からは、保育の質の低下、事故やケガに対応できるかどうかが懸念されています。実際には、朝夕の時間帯は子どもの数が少ないと想定されていますが、実際に保育士は子どもの視診や保護者対応などに追われることが多く、1人で対応するとなるとその間の保育はどうなるのかといいった声も聞かれています。
また、保護者側からも、保育の質の低下やトラブル、事故への対応について不安視する声も挙げられているのです。
参考:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kms/ikengaiyou1.pdf
今後の待機児童問題で必要になってくること
待機児童対策に対応するためには、まず保育士全体の数を増やすことが重要なポイントと言えるでしょう。
保育士の仕事は多岐にわたることから、その場限りで人数を増やすだけでは、業務改善はおろか十分な保育や業務を行うことが難しいのです。
そのためには保育士の処遇改善はもとより、業務フローの見直し、書類業務を電子化するなど、国や自治体、保育施設が環境整備を行うことが大切なのです。
現場の保育士は、子どもたちの成長を見守り、安全安心な保育を目指し、日々自己研鑽しています。
現場の声に耳を傾け、保育士の業務改善を推進していくことが必要といえるのではないでしょうか。
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記事公開日:2019.01.17
記事更新日:2021.08.03