Ohanaトップ|保育のこと|保育知識|保育園に必要な年間指導計画の作り方や年齢に合わせた目的を解説

search SEARCH

clip CLIP

2021.12.21

保育園に必要な年間指導計画の作り方や年齢に合わせた目的を解説

保育園に必要な年間指導計画の作り方や年齢に合わせた目的を解説

年間指導計画は、受け持ったクラスの子どもたちの1年を見通して「どのような保育を行い、どのように育ってほしいか」を考えて作成するものです。

まずは、保育における年間指導計画を作り方やポイントを見ていきましょう。

保育園に必要な年間指導計画の作り方

年間指導計画は、保育を計画的に実施するため必要不可欠なものであり、保育所保育指針においても、「計画に基づいた具体的な保育が展開されるよう、子どもの発達を見通した長期的な指導計画を作成しなければならない」と示されています。

園によって年間指導計画の内容は異なる場合もありますが、概ね書くべき項目は以下のようなものに決まっています。

 ● 年間目標
 ● ねらい・内容
 ● 環境構成
 ● 予想される子どもの姿
 ● 保育者の援助
 ● 行事

これらの項目を順に埋めていきますが、いざ書こうとしてもどこから書き始めて良いのか分からない保育士さんもいるかもしれません。

年間指導計画を書くのは慣れるまで時間がかかるものですが、作成の際に知っておくと役立つことを5つ紹介します。

5領域に沿って作成する

保育計画を立てるときの基本である「5領域」に沿って年間指導計画を作成すると、子どもの発達過程を予想しやすくなります。

それぞれの領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」のねらいと内容を把握して、園の方針やクラスの子どもの発達状態に合わせた計画を立てていくことが求められます。

領域ごとに予想される子どもの姿と保育士の関わりを具体的に記入していきましょう。

年間指導計画は1年を、1期(4~5月)、2期(6~8月)、3期(9~12月)、4期(1~3月)で4分割している園が多いので、それぞれの時期でねらいと内容を考えていきます。

保育所保育指針で示されていることに留意する

保育所保育指針では、保育における指導計画を作成する際の留意事項が記載されています。

保育は基本的に保育所保育指針に沿って行われるものですので、年間指導計画を作成するときの参考にしましょう。

縦割り保育を行っている園もあると思いますが、異年齢で構成されているクラスの保育活動についての留意点なども書かれています。

子どもの家庭状況を把握する

子どもの発達は保育園と家庭、両方の連続性で成り立っているため、子どもの家庭状況も視野に入れて考えなければなりません。

例えば母子家庭が多いクラスの場合、行事の計画を立てる際には配慮をし、子どもが家庭でどのように過ごしているかなども把握したうえで年間指導計画を作る必要があるでしょう。

保護者の労働環境も考慮し、延長保育や休日保育の利用状況も含めて、ねらいを設定していきます。

地域の実態に即したものにする

地域によって環境や文化に違いがあることにも留意する必要があります。

住民同士のつながりが強い地域、自然とたくさん触れ合える環境が多い地域など、保育に活かせるものがある場合は、年間指導計画に取り入れていきましょう。

田舎と都会では生活条件が大きく異なりますので、「子どもの声がうるさい」など近隣からクレームが入ることもあり得ます。

行事のときは保育園に招待するなど、日頃から地域住民と積極的に関わりが持てるイベントを計画しても良いかもしれません。

過去の年間指導計画を参考にする

いきなり1人で一から作成するのはハードルが高いと思いますので、先輩保育士さんが作成した前年度の年間指導計画を参考にするのも良いでしょう。

インターネットで調べるのもいいですが、保育園の方向性や取り組み内容はさまざまなので、同じ園の指導計画を見せてもらい、書き方の参考にしてください。

年間指導計画は、日案や週案などに比べると難易度が高いため、簡単に書けなくて当然です。

指導計画を書く際は、自分が書きやすいと思う部分から埋めていく方法で構いません。

年間指導計画を作る際の注意点

2

続いて、年間指導計画を作るときに注意すべき点について紹介します。

特に初めて作成する保育士さんは、注意点を踏まえたうえで、年間指導計画を作成しましょう。

他の保育指導案(日案・週案・月案)と相違のないものにする

保育指導案には年間指導計画以外にも、日案、週案、月案と種類があります。

これらは別々のものですが、年間指導計画を元に他の指導案を作成していく必要がありますので、それぞれで内容に相違がないよう気を付けましょう。

例えば10月に運動会を行う場合、9月の月案から練習が始まることを書き、週案は月案を元に1週間でできる練習内容を考えます。

日案では週案の内容を達成するための1日の計画や子どもの姿を具体的に記入します。

このように、年間指導計画は他の指導計画に影響しますのでそのことを考慮して作成しましょう。

保育の方向性を明確にする

保育の方向性は園の保育方針でもあるため、保育士は園の方向性をしっかり把握しておく必要があります。

年間指導計画は保育士が独自の視点だけで考えて作るものではありません。

例えば、「英語教育を取り入れている」「食育に力を入れている」など保育園の特色はいろいろありますので、園全体が定める目標に沿って作成できると良いかもしれません。

子どもの特性を知ったうえで作成する

年長児になってくると、クラスによって特色が出てきます。

運動が好きな子どもが多い、リーダー格の子どもがいるなどさまざまです。

現在の子どものことを何も知らない状態で年間指導計画を作るのは容易ではないため、可能であれば前年度の担任保育士に話を聞いてみましょう。

計画通りに進まないことも頭に入れておく

新人保育士さんの場合、1年間のねらいや子どもの姿を予測するのは難しいでしょう。

年間指導計画を作成するのは基本的に4月ですが、最初に設定したねらいが合っていないと感じた場合は、途中で修正してください。

計画通りに進まないことを念頭に置いて、幅を持たせた目標やねらいを設定しましょう。

園児の年齢に合わせた年間指導計画の目的

3

子どもの年齢に合わせた年間指導計画を作成する目的にはどのようなものがあるのでしょうか。

保育園に通う子どもの年齢は0歳から5歳と幅広く、全ての年齢において体のつくりはもちろん、活動内容も大きく違います。

発達には個人差があるため、例えば4歳と5歳ではぱっと見同じくらいの月齢に見えるかもしれませんが、日々の保育を行うなかで感じられる発達は全く別物です。

また同じ1歳児であっても、1期~4期でそれぞれ、でねらいや予想される子どもの姿は異なります。

それぞれの年齢に応じた遊びを通して、どのような体験をしてもらいたいのか、保育士はどのような働きかけをしていくべきなのかを明らかにすることが、年齢に合わせた年間指導計画を作成する目的です。

保育園で必要な年間指導計画はポイントを押さえて作成しよう

今回は、年間指導計画の作り方や、書く際に知っておくと役立つポイントについて紹介しました。

他の指導計画と矛盾点がないように作成することに注意し、保育の方向性を明確にしながら作成することが大切です。

年間指導計画を作るのは大変に思うかもしれませんが、年度初めにしっかり作成しておくことで、年間を通した活動が見通せるようになります。

記事公開日:2021.12.21

記事更新日:2021.12.28