2019.08.14

【女性に多く見られる腱鞘炎とは?その原因と対処法をご紹介】
手をよく使う仕事をしている女性や、出産期・更年期の女性に多く見られる腱鞘炎。病院や整形外科を受診すると「手を使わないように」指導されますが、手を使う仕事をしているのに、そのようなアドバイスはナンセンスというものです。ではなぜ腱鞘炎になってしまうのでしょうか。その原因や対処法をご紹介します。
(目次)
1.腱鞘炎とは
1-1.腱と腱鞘がこすれあう疾患
1-2.2つの代表的な腱鞘炎
1-2-1.ばね指
1-2-2.ドゥケルバン腱鞘炎
1-3.腱鞘炎のセルフチェック
2.腱鞘炎の原因
2-1.ホルモンバランスの乱れ
2-2.手指の使いすぎ
2-3.病気
3.腱鞘炎の治療法
3-1.外用薬
3-2.ステロイド注射
3-3.手術
4.腱鞘炎のセルフケア法
4-1.よく温める
4-2.ストレッチをする
5.まとめ
1.腱鞘炎とは
それでは早速ですが、腱鞘炎とはどのような疾患なのかについて見ていきたいと思います。腱鞘炎には大きく分けて2つのタイプがあるので、それぞれについても解説したいと思います。
1-1.腱と腱鞘がこすれあう疾患
腱鞘炎は簡単に言うと、腱と腱鞘がこすれあい、炎症を起こす整形外科的疾患です。私たちの筋肉は、骨に付着する部分で腱に移行しますが、腱は腱鞘という鞘(さや)のようなものに包まれています。
腱鞘に包まれることによって、腱が滑らかに動くようになるのですが、何らかの原因によって腱鞘が肥厚する(分厚くなる)ことで、腱が滑らかに動かなくなり、炎症を起こすという訳なのです。
1-2.2つの代表的な腱鞘炎
腱鞘炎には大きく分けて、ばね指とドゥケルバン腱鞘炎の2種類があります。ではそれぞれについて詳しく見てきたいと思います。
1-2-1.ばね指
ばね指という言葉はみなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。指を曲げていくと引っかかりが生じ、それでも力を入れて曲げていくと、バチンとばねのはじけるような感じがして指が曲がります。
ばね指の場合、腱鞘に肥厚が見られるだけでなく、腱にも炎症がおこり腫れを生じています。そのため、指を曲げると腫れている腱の部分が腱鞘に引っ掛かってしまうのです。
日中の症状はそれほどでもないという人でも、朝起きたときに指がこわばって動きにくいというケースもあります。はじけるような指の動きから、弾発指(だんぱつし)と呼ばれることもあります。
1-2-2.ドゥケルバン腱鞘炎
ドゥケルバン腱鞘炎はドゥケルバン病と呼ばれることもある、親指の外側に見られる腱鞘炎です。特に親指を外側に開いたり、反らしたりしたときに、強い痛みが出るという特徴を有しています。
最近は親指でスマホを操作するような機会が増えており、それが原因となってドゥケルバン腱鞘炎を発症するケースも見られることから、「テキストサム損傷」などと言われることもあります(サムは英語で親指のこと)。
1-3.腱鞘炎のセルフチェック
腱鞘炎のうち、ばね指(弾発指)はチェックするまでもなく、自覚症状が表れます。ドゥケルバン腱鞘炎をチェックするときには、フィンケルシュタインテストと呼ばれる整形外科的テストをおこないます。
やり方はとても簡単で、まず親指を握るようにして手を握ります。次に、親指側が上になるようにして、手を前に伸ばします。その状態で手首を下に傾けます。その時に親指の付け根から手首にかけて痛みが出たら、ドゥケルバン腱鞘炎の可能性があります。
2.腱鞘炎の原因
腱鞘炎について簡単にですが知って頂いたところで、次に腱鞘炎の原因について見ていきたいと思います。なぜ腱鞘炎になってしまうのでしょう。
2-1.ホルモンバランスの乱れ
腱鞘炎の原因の1つとして、ホルモンバランスの乱れがあげられています。実際に妊娠・出産後の女性や更年期の女性に腱鞘炎が多く見られています。
2-2.手指の使いすぎ
手指の使いすぎも腱鞘炎の原因の1つとなっています。手指をよく使う仕事の人やスポーツ選手、携帯やスマホをよくいじる人などにも腱鞘炎がよく見られます。スポーツ選手の中には、ばね指で引退を余儀なくされた人もいます。
2-3.病気
病気が原因で腱鞘炎のリスクが高くなるケースもあります。特に腎疾患を持っていて透析治療を受けている人や、関節リウマチを持っている人、糖尿病を持っている人などに腱鞘炎が起こりやすいとされています。
3.腱鞘炎の治療法
指や手首の痛みを訴えて病院や整形外科を受診して、腱鞘炎だと診断された場合、どのような治療がおこなわれることとなるのでしょう。
3-1.外用薬
腱鞘炎は一般的に保存療法(手術をせずに様子を見る)ケースがほとんどです。腱鞘炎の治療法としては、非ステロイド性剤の外用薬を塗布するという手があります。非ステロイド性の外用薬を塗布することによって、炎症を鎮め、痛みを抑えます。
3-2.ステロイド注射
腱鞘炎による痛みが強い場合、トリアムシノロンなどのステロイド注射をおこなうケースもあります。やはり炎症を抑え、痛みを鎮めるのが目的です。
3-3.手術
保存療法を数ヶ月おこなっても症状が改善しない場合や、何度も再発するような場合、手術療法が採られるケースもあります。手術は日帰りでできるので、日常生活に支障が出ている人は検討するもの良いでしょう。
4.腱鞘炎のセルフケア法
腱鞘炎になってしまうと、痛みのせいで指を動かしたり手首を動かしたりするのがつらくなってしまいます。そうならないようにも、普段からよく温め、ストレッチをおこなうように心がけましょう。
4-1.よく温める
腱鞘炎を起こしやすい人として、糖尿病の人があげられていましたが、その理由として、糖尿病の人は「抹消への血流が滞りやすい」ということがあげられます。
つまり、血行不良によって腱鞘炎の発症リスクが高まると考えられる訳です。そのため、普段から手首をよく温めるようにしましょう。
東洋医学では「首」という漢字のつく場所から「冷え」が入ってくると考えられています。そのため、手首や足首、そして首を冷やさないようにすることが重要なのです。
4-2.ストレッチをする
試しに腕を掴んで手をグーパーしてみてください。筋肉が動くのを感じられると思います。指は指の筋肉だけでなく、前腕の筋肉も使って動かしています。
そのため、前腕の筋肉が硬くなると、腱鞘炎を発症するリスクが高くなるのです。特に腱鞘炎を発症するような人は前腕の屈筋(日焼けしない方の筋肉)を酷使しているので、屈筋群のストレッチをおこないましょう。
まず右手の手のひらを上に向けて腕を前に伸ばします。次に左手で人差し指から小指をつかみ、手首を反らすようにして右手の手のひらを下へと引っ張ります。気持ちいい程度の力で優しくストレッチしましょう。
5.まとめ
腱鞘炎を訴えて病院や整形外科を受診すると「使わないでください」などと言われます。使わないで済むなら世話ないのですが、そうはいかないケースがほとんどだと思います。そのため、普段から今回紹介したストレッチをおこない、腱鞘炎にならないようにしましょう。
記事公開日:2019.08.14
記事更新日:2019.07.29