2019.04.03
働く保護者の救世主!病気の子どもを預かる「病児保育士」
共働きの保護者が頭を悩ませる「子どもの病気」。
残念ながら多くの企業では、子どもの病気で休もうとする保護者に対して、「子どもが病気!?仕事はやっておくから、あとは任せて」とはなかなか言えないのが現実です。
厚生労働省が定めた「保育所における感染症対策ガイドライン(2012年改定版)」によると、登園を控えるのが望ましいとされる体温は37.5℃。
2015年には「37.5℃の涙」と題したドラマが放送され、働く保護者の葛藤や奮闘する保育士の姿が反響を呼びました。
今回は、「働く保護者の救世主!病気の子どもを預かる病児保育」についてフォーカスしてみました。
(参考)厚生労働省 2012年改定版 保育所における感染症対策ガイドライン
なぜ病児保育が必要なの?
共働き家庭の増加に伴い、保育園に通う子どもの数も年々増えています。集団生活を行う子どもには病気はつきもの。さらに、子どもの病気は「待ったなし!」です。
病気の子どもは通常の保育園では預かれない!
大人に比べ、子どもは免疫力が高くないことから、集団生活ではさまざまな感染症にかかってしまいます。
感染症などの拡大を防ぐため、通常は病気が認められる子どもを保育園で預かることはできません。
かといって、共働きしている保護者にとってみれば、子どもの病気を理由に何日も会社を休めば、仕事に影響が出るほか、何度も休むことで会社に居づらくなり、最悪のケースとして退職を余儀なくされることにもなりかねません。
病気の子どもを専門に預かる病児保育は、こうした保護者のニーズに応えるかたちで導入が進められてきました。
病児保育はどのように行われているの?
インフルエンザに水疱瘡、おたふくかぜなど、子どもがかかりやすい感染症はたくさんあります。
こうした病気に対応してくれる病児保育は、どのように行われているのでしょうか?
施設で病気の子どもを預かる「施設型病児保育」
小児科などの医療機関や保育園に、病児保育専用の部屋を設け、その中で保育士や看護師が病気中の子どもを預かり、保育を行います。
ただし、病気にかかったばかりで急変する可能性のある子どもは対象外となります。
利用する子どもの人数によって、対応する職員の人数が定められており、子ども10人に対して看護師は1人配置するとともに、子ども3人に対して保育士が1人必要になります(厚生労働省通達「病児保育事業の実施について」より)。
内閣府が2014年に作成した資料「病児保育事業について」によると、この施設型は2012年度には561か所設けられており、利用者の延べ数は約49万人となっています。
(参考)内閣府 病児保育事業について
子どもの家庭を訪問して子どもを預かる「訪問型病児保育」
保育士が病気の子どもの自宅に訪問して保育を行います。
子ども1人に対して1人の保育士が対応することや、自宅で子どもが安心して過ごせることなどがメリットです。
前出のドラマ「37.5℃の涙」では、この訪問型の病児保育を行っている施設が舞台となりました。
病児保育士にはどうすればなれるの?
病気の子どもを預かるには何か特別な資格がいるのでしょうか。
保育士資格があればOK!
病児保育を行うための特別な資格は必要なく、訪問型の病児保育では、保育士資格がなくても子育て経験があればOKとする求人もあります。
しかし、病児保育施設では保育士か看護師資格が必須となっていますので、施設型で働きたい場合は保育士の資格が必要です。
このほか、民間の資格である「認定病児保育スペシャリスト」などは、病児保育のプロとしてアピールできる材料になります。
まとめ
保護者からのニーズが高いものの、対応可能な施設や事業者が少ないことから、利用を諦めざるを得ない状況にもなっている病児保育。
日本病児保育協会が行った調査「共働き家庭の子育て事情、『子どもの病気』はワーキングマザーまかせ!」によると、子どもが病気になったとき母親であるワーキングマザーが仕事を休み、子どもの看護をすると答えた人は62.7%にも及びます。
女性の社会進出によって、これまでのように「母親が休む」ことが難しくなれば、ますます病児保育のニーズが増えることが予想されます。ドラマでも注目されている病児保育士に興味がある保育士は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
記事公開日:2019.04.03
記事更新日:2019.04.03